スダジイ
ぱい焼き太郎
第1話 起
青春時代の真っ只中、その時期の価値を見出せずにつまらない日々を淡々と過ごしている鷲尾優17歳。学校で喋る友達といえば、幼馴染で天然アフロのゴンと、高校に入ってから仲良くなったおかっぱ頭の吉田くらいだった。
「おい!新しいクラスは楽しいかよ!」
吉田だとすぐわかった。朝から僕にうるさい声で話しかけてくるのは彼しかいない。
「まあでも、また廊下側の一番後ろなんてラッキーだな」
「まあね」
教室の廊下を振り返ると、ゴンもいた。どうやら二人は同じクラスだったらしい。
「そう不貞腐れんなって。昼はお前の教室に来てやる…」
「おー!!お前も二組かよ!!」
吉田の横柄な言葉はサッカー部の集団の声にかき消された。
僕たちは、教室の前方に集まるサッカー部の方を見つめる。
「やっぱり去年みたいに踊り場か」
吉田は先ほどの勢いとは打って変わって声色を変えてそういった。
◆
昼時、3人でいつも食べている場所へと向かう。
突き当たりの3F地学室へ向かう途中の階段の踊り場。
去年の前期は立ち入り禁止の屋上の扉前だったのだが、バスケ部に取られてしまった。それからはこの狭い踊り場でお昼を食べている。
「おい、今日はビックニュースがあるんだよ」
踊り場へ着くと朝のテンションからけろっと戻った吉田がゴンとすでに待っていた。
「どうせまたAV女優の話だろ?」
「はぁ、そんなこと言ってるけど、絶対驚くぜ?」
吉田の妙な自信とゴンのニヤついた表情にに少し身構えた。
「お前のじいちゃんのとこの山にホームレスが住み着いてるって」
「はぁ?」
「しーかーも!どうやら殺人鬼らしいぜ」
「噂話だろ」
「でも本当だったらえらい騒ぎだぞ。今日確かめに行こうぜ」
「ばか、行くわけないだろ」
「お願いだよ。おれら去年なんて学校と家の往復ばっかだったじゃんか!こんなの非現実、非日常それに!俺らの退屈な人生にやってきたスリル!」
ひどく興奮気味の吉田。馬鹿げてると思ったしありえないとも思った。そして本当だったらすごく危ないことだ。でもなぜだか、吉田の言うことを完全に否定できない自分もいたことに驚いた。おそらく、おじいちゃんの所有している山という事もあって人ごとではない気がしたのもあるかもしれない。
「わかった」
◆
放課後になり、吉田たちのクラスのHRが長引いていると連絡があったので、自分の教室で待つことにした。
教室内には、仲の良い男女グループと、僕と同じように自席でスマホをいじる数人と
教室を掃除している鈴木聡太がいた。
新学期になって名前を初めて知った。彼は、去年からよく学校内で見かけていた。
優等生なのか、人気者なのかはわからないが、僕の中では目立った存在だったし、彼が僕を見ている気がしていた。華奢な体で髪の毛はサラサラしていた。
誰かに彼はなんなのか聞くことはしなかったが、今日の雰囲気を見ていたところ、特に目立つ要素もなさそうだった。
そんなことを振り返っていると、彼が近づいてきた。
(話しかけられるのか?)(急にどうしよう)
心の中では焦っていたが、スマホの画面を見ながら心の声を誤魔化そうとしていると、僕の隣の通路のゴミを拾っただけだった
心の中でホッとしながら画面を見ていると、HRが終わった連絡が来ていた。
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