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風船ちゃん
きっかけ
逢魔の時
今日、友達に教えて貰った言葉だ。片方にコミック本を持って、熱心に語る友人は聞いていて楽しい。新しい制服に袖を通して、初めての立夏を迎える。それなりのグループができて、部活帰りの友達を待てば、日が沈むのに十分な時刻。その境界線をなぞるように歩いてた少女は、普段と違う道を辿っていた。友人との会話が弾んで気分が良かったのもあるし、馴れしたんだ道から冒険したかったのかも。
牛乳を混ぜすぎたココア色を肩に流して、胸辺りまでの髪を揺らす。水色に赤のラインが入った制服は、今年併設されるのを期にセーラー服になった。周りに流されて、ドーナツ巻きにしたスカートを元に戻し、段々と寂れた小道へと導かれる。
塀が高く、影も同化した頃。小さな公園に出た。シーソーには苔が生え、ブランコは錆びついて鎖から外れてる。人の通れる道を歩けば、管理の行き届いてない密生に囲まれる。中央に向かっていけば、キラリと、雑草から何か光った。夕日色と違う、こちらを突き刺す光が気になって手を伸ばす。そう苦労はしなかったが、ちくちくと草が刺してくる。
落ちていたのは鏡だ。日に反射したそれは、シックな縁で雪のように白かった。こんな真夏に、冷たさを感じたのは気の所為だ。熱中症で、映る鏡に氷柱なんて。一度水分を取ろうと頭を振って、暑気漂う空気を吸って、整える暇なく息を呑んだ。
鏡に反射する影はなんだろう。
建物、遊具、電柱。パッと思いついたが、揺れ動く様を見て青褪めた。影というには、背を伝う冷や汗が否定した。後ろに、何かいるんだ。固唾を飲んで、鏡から目が離せなかった。夕焼けに当てられた鏡と、鏡に映る“モヤ”と。一人だったはずのこの場には全てのコントラストに違和感を抱く。
やっと振り返ったのは、恐怖の中にもある好奇心からだ。最後の行動とも言える防衛本能。役には立たず尻もちをついた。
夕焼けを隠して自身を覆い隠さんとするモヤ。自身の心臓の音だけが聞こえる。セミの鳴き声だって点滅している蛍光灯だって、この眼前のものを無視する。頭が真っ白になった。未知の生物に唖然として、逃げることすら叶わなかった。黒いモヤは蠢いて、やがて牙を出す。物体として形状を留めていないところから、こちらが認知できるものてしてはあんまりだった。目をつぶった時、体が震えた
次に目を開けた時、光に包まれた。
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