僕は貴方のオリジナル

寝布団

1日目

「はい、…………■■■の……………ゾンビ、特殊衣装っすね…………はい、あー潜入………んー空き1っすけどま〜、やっぱりカネ!ですかね〜〜ん〜はーい〜〜〜………………え!!!え〜太っ腹ぁ〜!!しゃーないす、……あ、ちょっとすみませんね〜〜、ちょっとここ行ってくるからリスケしといて………うん、ありがと…………」




ゾンビは人じゃないし、人はゾンビじゃない





「あはー、これからもどうぞご贔屓に〜!」



ガチャンっ……



「ふーっ、疲れたわぁ…………………」


「あーーーーやだやだ、若い内は楽しいけどさぁ〜〜」



「あ、やっほー!お疲れ!やっぱ辛いの?内部調査!!」


「お〜!お疲れ〜〜!いやー……辛いね…………もう体も結構ガタ来てるっていうか………」


「はぁ…………あのさぁ、アンタ、私より年下!!!!!失礼だと思わんかね」


「いやいやまじ!!で!!辛いの〜……てか今週入っちゃったし」


「まだやんの?特殊………捜査みたいなの」


「やんないとなんよ!!誰もやらないから!!」


ガコンッ


「割とホントにありがと、ゾンビいるって聞いたら怖くて外出れないし!」


「でもね、アンタがいるから全然怖くない。だってアンタ、プロだもん。」


「ははぁ、そうかなあ!?!?世界救える……!?っだ!!!!なに!!殴ることないじゃない!?」



「チョーシに乗らないてーどに頑張んなよ〜〜」



「りょーかい!!!」






ガチャン……ガタタ……………



「んー"がぁ〜……肩いった…………絶対肩逝ったわなんちって………………」


「サボりて〜ぇ……………………………」


「ダメや……(セルフツッコミ)」



「ふんっ、行くか」






裏か表かでいったら………裏かもしれない。

俺の仕事は……例えば、アニメに出てくる、魔法少女、ヒーロー、勇者、ヒーラー、表舞台に立つ人達………の、代役である。



魔法や剣などで戦う敵はいつでも、凶暴なモンスターだった。

それが増加し始めてから、街や村を守る守護制度が導入し、瞬く間にニュースとして拡散されていった。

新聞や雑誌で拡散されていっている中、世の中では予言やフェイクニュースも、もちろん拡散されていった。

その中で、特に目立っていたのは『数年後人類皆ゾンビ化』。

何回も拡散された。それはもう何回も。それでも、偉い人たちはゾンビに備え沢山の予防を用意した。

世界を終わらせないために。



が、そのうち何年後にくるはずだったゾンビの1部の研究材料が博士の目に入り、感染し、院内で大量の人類がゾンビ化してしまった。


唯一のゾンビを研究していた博士だった。何か一つ進む度、進捗がニュースにされて…………あの人の変わりは、もういない。


やがて凶暴なモンスターもゾンビになり、街や村がゾンビ化した。



皮肉なことだ。救おうとし、壊してしまった。



街を守ってくれる人材も、ずっと守ってくれるわけではない。

守護制度によりゾンビ化した今でも引っ張りだこで、過疎化した街や村が危険にさらされてしまう。


人が足りない、ただ、普通の人間は一般人である。空など飛べない。魔法も使えない。海の上も歩けない。


が、特殊衣装に着替えればそれは全て出来る。


さあ、ステッキや剣を持って。


誰に気付かれなくたって構わない。


俺の中身が、評価されなくたって構わない。


俺が俺じゃなくたって、構わない。






貴方の代わりになるものです、これからよろしくね。








シュル……………



「にしても厚着でフリフリだな…………このフリフリで動けてるのすげ…………………」


「武器もすげー重い………………よく振り回せてるな……………」




こうして思うと、とてもすごいな。

テレビの前での夢が、幻想ではなくなってしまった。

望んでいた形とは違うけど…………………


「〝僕〟はこの街を守りたい……!!」



これはまだゾンビになっていない、皆様への支援。

僕が子供の時も、僕を笑顔にしてくれたように。

不安にさせないよう、常に前を向いて貴方達を守る。



「さぁ、みんな、行こう……!!」



『こっちにもゾンビがいるはずです、隠れて!!』




ハタッ…………



「え」


『?』



「あ、危ない!!」



ドッ…………シュ



『わ、すみません、よそ見を……』


「や、こちらこそ……………」


『……?………………!?貴方、なんで僕の見た目して』



ドッ………ドッ……………ドッ………………



『地鳴りが不定期だ。急ごう』


「えっ、あ、ぁのちょっと、」


『大丈夫、後で聞きます。貴方が死んでしまったら、いつ聞けばいいのですか』


グイッ


「ぅわっ!?」


『恐らくきっと、あの調子だと地面もろとも割れます。ゾンビ化した人間は、普段の何百倍、何千倍のも人間を食すことが出来るのです。それは』


「細胞に、耐性がついているから…………」


『………よく知ってるね』


「あ、い、いや」


『物知りで!』


「も、物知り?」


『貴方もこちら側なんだね………ここは安全だから、ここにしばらく居よう。街の人は皆避難してるから大丈夫…………』


『怪我はない?』


「あ、ないです………」


『それはよかった』


『………貴方、なんで僕の格好をしているの?』


「えっと…………」



そうか、この事を知っているのは裏や内部で動いてくれている人達だけ。本人にバレてはいけないもの………………そうなると…………



「あ、貴方が…………好きで………」


『えっ』


「ま、真似って…………いうか……………その……………」


『僕みたいになりたくて………?』


「へ、あ、そうなるのかな……?」




……………あれ


『…………わぁ〜、ありがとうございます………………ここのところ、有難いことにずっと守りに徹していたため、このように褒めて頂けて………光栄です』



そうか、本人も忙しいのか。いや、当たり前だ。


「いや!あの、こちらこそいつも、街を守ってくださってありがとうございます………!」


「あの…………………」



こう思うと、子供の頃を思い出す。憧れの人と話して、将来何になりたいか………って。


それは…………………汚い字で書きなぐった…………………






〝唯一無二の存在になりたい〟



それは、幼いながらに書きなぐった愛おしい夢。



こんなの、全然唯一無二じゃない!!!



『そっか、そっか…………なら、僕、もっと頑張りますね。ありがとう…………』



一人でいい、僕はいらない?

違う、ホンモノはいらない、僕一人でいい。



『さっき、何か言いかけてませんでしたか……?す、すみません!遮ってしまいました……っ、』



違う!!僕はこんなこと考えたかったわけじゃない!!


『…………あの、大丈夫ですか?』



僕は…………僕は、


『伝えてくれようとしたこと、もう一度教えてください、ね?』




愛されたくて、貴方として、貴方が好きで!!!!!憧れて…………………………



ああ、最悪だ。こんなこと言ったら嫌われる。こんな意味のわからない所で終わりたくない。





今まで誰かの憧れになるために必死に堪えてきた思いが全部出そう。





いやだ、いやだ、こっちをみないで。その綺麗な目で汚くなった僕をみないで。




代わりなんていらない!!!!



…………あぁ、貴方もそう思ってるの?






『…………そっか、大好きなんだね。僕のこと』



「…………………へ?」


「っ……!!口に出て………!?」



『ふふ、聞こえちゃいましたよ。』



「え」



『貴方が好きって……………!!』



「………………………へ?」






このドロドロとした感情を、貴方の前で出さずにいられるだろうか。


否、そんなことできるはずがない。僕はオリジナルではないのだ。



偽物でしかない。




だけど、オリジナルがそれに気付いていなかったら………?



『そんなこと、今までやってきて初めて言われたので………!!』



僕も、まだ、オリジナルになれるかもしれない。



貴方を乗っ取りたい。





「……本当ですか?凄くかっこいいのに」





すごく奪いたい貴方へ。

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