ながらスマホ注意報

リバー

ながらスマホ注意報

どこにでもいるような、普通の家庭。


晩御飯を作る母親。

お茶を飲みながらニュースを見る父親。

学校の宿題をする小学生の妹。

スマホを見る高校生の兄。


ニュースではこの付近で通り魔が刃物を持って逃亡中と報道されている。


「物騒だな〜…」


「ご飯できたわよ。テーブルの上片づけなさい」


今日の晩御飯も母親特製の野菜炒め。


「また野菜炒め~…」

「文句言わないの。ほらお兄ちゃんも。食事の時ぐらいスマホ見るのやめなさい」

「ん~…」


兄は母親に注意されたが、スマホを見続ける。

「ほら、いい加減にしなさい! ご飯冷めちゃうよ」

「あ~…、俺一旦自販機で飲み物買ってくる」

「今から!?」

「おい、今この辺りで通り魔がいるらしいからやめときなさい」

「えー、お兄ちゃんいいなぁ。私のも買ってきて」


妹と父親の忠告を無視し、外に出かける兄。


「あの子は本当に…。もう先に食べちゃいましょう」

「スマホでなにを見てるんだ。あいつは」

「知らないわよ。SNSでも見てるんじゃない」

「お兄ちゃんだけいいなぁ」


外の自動販売機でジュースを買う兄。その間もずっとスマホを見ている。


「ただいまー」


家に帰ると家族は惨殺されていた。


廊下で腹部を複数箇所、刃物のようなもので刺され倒れている父親。犯人に抵抗した形跡が残っている。

母親は妹を庇ったように死んでいる。首から大量の血が流れている。首をめがけて一撃で殺されたのだろう。

妹は母親のすぐ隣で倒れていた。父親同様、腹部を数か所刺されている。

しかし、妹はまだ微かに息をしていた。


帰ってきた兄はいつもの自分の定位置に座る。箸を取り、家族の血が付着した野菜炒めを食べながら、尚スマホを見る。


「お……、おに…ちゃ……」


スマホに夢中な兄は、妹の微かなSOSに気づきはしない。


「お母さん。今日の野菜炒め少し苦いよ」


スマホを見ながら、惨殺された母親に苦言を呈す。


ガチャ、バタンと、なにかを取りに来たように玄関の扉が開いた。



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