曇りのち雨、ところにより
かごのぼっち
第1話 青天の霹靂
『青天の霹靂』なんて言葉があるが、人生においてのそれは、あまり起こってほしくはないものだ。
少なくとも僕は平穏な日常を送くりたいのだから。
平々凡々とした人生こそ最高だと思っていた。
そのため、無難に、卒なく立ち回り、ことなかれ主義を掲げて生きてきた。
僕にとって、青天の霹靂とは天災だ。
天災とは人の力では抗えない災害だ。まして、僕のような凡人に天災なんて、耐え難い苦痛でしかない。
「君、明日から会社に来なくていいよ。辞令は追って言い渡すから、席を空けて、身の振り方を考えるといい」
会社を辞めた。いや、辞めさせられた。
不当解雇だと抗うのもしんどい。どうせ業績が傾いていた会社だ。貰うものを貰って辞める方が得策だと考えた。
『家を出ます。捜さないでください。離婚届には署名して同封しました。よろしくお願いします』
嫁が逃げた。
書き置き一つで家の中ががらんとしている。まあ、僕との結婚は失敗だとボヤいていたし、ここ数年、夜の営みもなかったのだ。きっと僕が悪いのだろう。なるべくしてなったのだと、諦めた。
嫁が持っていった家財道具や預金も、餞別だと思うことにした。
家を売り払い、実家に帰ろうとした矢先。警察から母親が他界したとの知らせが入った。このところ顔を見ないと心配してくれたご近所さんが通報してくれたのだと言う。心臓発作らしい。親父と離婚して女手一つで育ててくれた母親だ。親がずっといるものだとは思ってはいなかったが、実際にいなくなると、さすがに落ち込んだ。
母親は祖父母から受け継いだ古い日本家屋だけを遺してくれた。父親を探す気もないし、他に兄弟もいなければ、親戚を頼る歳でもない。
僕は独り。
この家で独り、残りの余生を生きると決めた。
二千二十六年1月元日晴れ。
今年もなんとか生きてます。
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