第21話 森の獣21 もてき到来
「身体の能力向上の薬以外は、出たとこ勝負ですね」
と稲生は、薬を受け取り、説明を受けると尋ねた。
「あの化け物相手じゃ、チェックのしようがなかろう。
1日とはいえ、手持ちの薬草や劇物で
できうる限りのことはしたつもりだ。
研究開発ではないから、日数を貰ったところで、
これ以上のものは出来ぬ」
メリアムは、苦々しく答えた。
「おいっ、稲生。どういう事だ?
このことについては、先日、何も言っていなかった
ように思えるが?」
リンも苦々しく、横合いから口を挟んできた。
「いえ、これは、私の個人的な戦術のため、
必要ないかと思いまして。
集団戦術のありように関しましては、
お伝えしたかと思います。
リンも大変、満足していたと思います」
と話を切り上げようとしたが、
リンがしつこく食い下がってきた。
「いやいやいやいや、納得できぬぞ。
このことも説明すれば、あんなことには!
稲生、たばかったな。
くぅぅ、少しでも稲生を素晴らしい男だと
思ったことが、、、うっっ」
稲生が何かを言おうとする前にメリアムが一喝した。
「ばかもの、自分で考えぬか!
ましてやあの獣に挑むにあたって
何の策も思いつかなんだとは、戦う資格なし」
リンは、しょんぼりして、「すみません」と一言。
どうやら、二人は、何かしらの子弟関係にあったようで、
リンは全くメリアムに頭が上がらない。
店頭でのやり取りが済むと、
ノーブルは、荷物を宿舎に運び、
そのまま、帰宅するようだった。
残りは、メリアムの家で酒盛りを始めた。
途中、メリアムとリンが半刻ほど、抜けていた。
二人の間で、何かあったのか、戻ったリンは、
酷く憔悴した表情であった。
12刻ごろまで呑み、ほぼ、メリアムの家の
酒の備蓄がほぼ尽きたため、帰宅の途についた。
稲生にとって、エイヤとザルツの関係をはじめ、
老公のこと、色々な人物やその関係について、
知ることができ、非常に有意義なひとときであった。
当然のこと、明日は、呑んだ美酒が身体中にまわり、
正常な判断や行動がとれないだろう。
酔いの回っている頭でぼうっと思った。
一緒に歩く、ノルド、ワイルドは、
大声で笑いながら、歩いている。
異世界の住人は、酒に強いに違いないと思う稲生だった。
隣を歩くリンは、お酒でほのかに頬を赤く染まった顔で言った。
「稲生は、お酒に弱いな。明日は、特別に私が起こしてやろう」
えっ、リンって俺に惚れているかも。
そんな思いが稲生によぎる。
いや、お酒のせいで正常な判断が
出来てないに違いない。
酔いのせいとなのか、それとも25歳を超えて、
あまり女性とのお付き合いのないせいか、
稲生は、その思いにどう答えようかと
ぼうっと考えていた。
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