第6話 森の獣6 説明会は眠くなる
「ふああぁー」
ガラスのない窓からの明かりによって、
稲生は、気持ちの良い目覚めを迎えた。
身体中の痛みがなく、ベッドより降りて、
ストレッチをしてみる。
身体の節々を伸ばし、またもや
「ふううぅー」
と謎の言葉を発してしまった。
しばしの間、謎の言葉を発していると、
ドアからノック音がした。
ローブの前を閉じて、
「どうぞ」と一言。
「おっおはようございます、
守備隊主任を任されています、ドリアムと言います」
言い終えると、稲生の言葉を待っているのか、
無言で、直立不動の姿勢まま、
入口付近に立っている。
「おはようございます、稲生といいます。
稲生と呼んでください。
いまいち、私の立ち位置が解りかねますので、
これからどうしますか?」
言い終えると、
これからのことをドリアムが説明した。
・ヤンデルフォン・リンが王都へ向かったため、
その間、ドリアムが基本、対応すること。
・現在の時刻は、3刻~4刻。各国で若干違うが
概ね朝食の時間であり、
この時間に宿舎で食事をとること。
通常、二食で、夕食は、宿舎で9刻~10刻の時間に
とること。
・午前は、ドリアムより、この国のことについて、
説明を受けると。
・午後は、自分の特異能力を観察し、
次回、リンに会うまでに纏めておくこと。
・獣が町に現れた場合、とにかく町から離れること。
・住民との交流をできるだけ避けること。
・服装は、この国の服を着ること。
「朝食の前に着替えた方がよさそうですね。
ドリアムさん、下着も含めて、
服は準備されているのでしょうか?
それとローブは返却ですか?」
ドリアンは、横に置いている袋より、
着古された服を一式取り出しながら、
「ははっ!準備してあります。
リン様より下着も着用するようにとの
ご伝言を承っております。
ローブはお返しの必要はございません」
稲生は、ため息をつきつつ、
「その変態ネタは、もういいですよ。
彼女の誤解です」
と言いながら、彼の前でローブを開き、下着を履く。
少し生地が固いが、ブリーフのようなタイプで
問題はなさそうだった。
いくつかのアドバイスを受けつつ、着替え終わり、
「さて、着替えましたので、
そろそろ、食事に行きませんか?」
とドリアムに声をかけた。
食事は、麦やトウモロコシのようなものの
混ぜ粥と副菜が2種類ほどと、
拒否感を感じるようなものではなかった。
宿舎での食事のあと、この場でそのまま、
この国と召喚者についての説明を受けた。
187年、続いている王朝であり、王朝の始めより、
召喚の儀と呼ばれる魔術により、
有能な何かを召喚して、使役するか協力仰いでいるようだった。
大がかりな魔術行使のため、20~30年の歳月が
必要とされているとのこと。
召喚されたものは、召喚者と呼ばれ、
王朝の護人として、生涯を過ごすことが大半であるようだ。
住民の多くは、何十年かに一度、顕現する英雄と
みなしているようだ。
そのため、召喚者を神と仰ぐ集団もあるようだ。
「えっと、そうなりますと、私は、
この国での英雄候補ということですか?
一応、国から、衣食住は保証されていると?」
つい、体を彼の方へ乗り出して、衣食住が
保証されているなら、なんとか適当にやり過ごし、
元の世界へ戻る方法を探せるかもと考え、聞いてみた。
執務室でのリンの召喚者への罵詈雑言を
聞いてしまったドリアムは、巧く答える術がなく、
言葉を濁してしまった。
「いや、ちょっと、それは、いままでの召喚者様は、
何かしらの治績や軍績をもって讃えられていますので。
その、ガンバッテクダサイ」
なんとも釈然しない答えに稲生は、頭を抱えた。
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