ほんわかさん

俊凛美流人《とし・りびると》

えぴそーど 〜れい〜


「ほんわか堂」の店先には、小さな黒板が立てかけてあります。

そこには、ほとりの手書きで、こんなふうに書かれているのです。


人生って、いろんな事のれんぞくですよね。

たのしいこともあれば、そうでない事もたくさんあります。

わたしには、それを変えることはできないけれど

すこしだけよくするために


「おくり物」をひとつお渡しします。

よかったら受け取ってみませんか?


「ほんわか堂」

今日も ふわっと あいています。

あなたのお悩み、少しこぼしてみませんか?


~しずかな処方箋~


きょうもまた、だれかが迷いこみます。

ふとした拍子に、角をまがり、路地の向こうへ──。


わたしは、そこで待っています。

お茶をいれたり、縫いものをしたりしながら。


わたしの名前は、ほとり。


職業は、とくにないけれど……。

「ほんわかさん」と呼ばれることが多いです。


ひとの心は、目には見えないですね。

でも、そっと手をかざせば、あたたかい場所と、すこし冷えた場所が、なんとなくわかるのです。


これは、そんな人たちとわたしが紡いでいく、小さな、やさしいお話です。

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