異世界百合ハーレムを築くことになったけど、神様のせいです!
皇冃皐月
プロローグ
やっほー☆
私の名前は
クリスマスイブなのに、私は学校帰りにコンビニバイトをするというクリスマス限界ぼっち生活を堪能してたよ!
半額シールが貼ってある(自分で貼り付けた)ホールのクリスマスケーキを買って帰ってる時のこと。信号無視をしてきたトラックに轢かれて死んじゃった☆
男性経験ゼロ、彼氏いない歴=年齢のまま人生終了。しかもクリスマスイブに。
せめて、一回くらいはキス……してみたかったなー。人生最期の記憶がバイト中に来店してきたカップルに嫉妬してたことなんだけど。あーやだやだ。
そんな虚しく悲しい私が次に目を覚ますと、そこは白一色の空間だった。どこもかしこも白。まるで精神と時の部屋。
私知ってんだけど。これって異世界転生ってやつじゃん!?
◆◇◆◇◆◇
「ようこそ。死後の世界へ」
「やっぱ、死後の世界じゃん 。ってことは、おじさん神様ですか?」
「そうじゃ。ワシは神じゃよ」
胡散臭い笑顔の男――自称・神様が、軽いノリで手を振ってくる。
神って自分のこと神って言うんだ。
「早速じゃが、死者二千億人ボーナスで転生できるが、するかい?」
「ログインボーナスみたいなノリで言うじゃん」
「記念じゃ、記念。で、どうする?」
「これって、選択肢ある感じですか?」
「まあ、ない」
ですよね。この謎の異空間にやってきた時点で私に決定権などほぼない。ここから拒否して「じゃあしなくていいよ」ってなるパターンがとてもじゃないが見えてこない。あるのかな、そんなパターン。
そもそもログインボーナスみたいなノリで転生決まってるパターンも初めてだけどさ。
「で、異世界転生特典としてスキルを一つ与えようと考えておるぞ!」
「スキル……」
「そうじゃ、なんだって構わないぞ。剣を使いこなすようなチートスキルに、魔法を使いこなすようなチートスキル。身体強化系だってあるし、お金をひたすらに増やすようなチートスキルだってある。好きなスキルを言ってみるがいい」
私は少し考えた。
戦闘系? それとも快適に暮らせる系? やり方次第では不死身になることだってできるだろう。それはそれで魅力的ではある。
でも、正直それよりも……
「……モテたいです」
「ほう?」
「とにかくモテたいです。人生で一度もモテたことないので。モテモテ。モテモテになって、チヤホヤされたい」
神様は深く頷いた。
「なるほど。よろしい。では、モテモテになるスキルを与えよう。第二の人生、謳歌したまえ!」
神様が両手を広げる。私の意識はぐぐーっと遠のいた。
◆◇◆◇◆◇
目を覚ますと、草の匂いがした。
空は青く、空気がやけに澄んでいる。
「……転生、成功?」
異世界転生というから、赤ちゃんからやり直しかと思ったがどうやらそうじゃないらしい。近くの湖の水面で容姿を確認する。前世と全く同じだった。
黒髪ロングにつり上がった目。見慣れた顔がそこにはある。安心するのと同時に、なんかもうちょっと可愛くなれたら良かったのになあ、と思う。
まあ! 私は別に自分の顔嫌いじゃないけど!
それに今の私にはスキルがある。神様がくれたモテモテになる最強チートスキル!
って、スキルってどうやって見んだろう。こういうのって大抵「ステータスオープン!」とか念じると、脳内でウィンドウが開くもんだよね。
まあテンプレ通りにやってみるか!
――ステータスオープン!
――――――――
『スキル一覧』
・女ったらし
[戻る]
――――――――
…………。
「は?」
思考が止まった。
「いや、待って。女ったらし?」
文字を二度見する。三度見する。
消えない。
どう見てもそこにあるのは『女ったらし』の文字。男ったらしならわかる。喜んでそのスキルを受け入れよう。
たくさん駆使して、イケメンパラダイスハーレムを築いてやる! のだが……女ったらし? 女ったらし……。
「私、女なんですけど!?」
ツッコミが虚空に吸い込まれた。
そのときだった。
「……わっ!?」
振り向くと、そこにいたのは、銀髪で、耳の尖った、いかにもエルフな少女だった。
異世界ハーレムものによく出てきそうなエルフっ子である。
驚いたのか、なんなのか。
目の前で尻もちをついていた。
「あ……えーっと、その、ごめんね?」
謝罪を口にしつつ、助け起こそうと手を伸ばした瞬間だった。
銀髪エルフっ子は私の手を取る。ぐいっと引いて起こしてあげようとしたのだが、見た目より彼女は重たくて、体重を持っていかれてしまった。バランスを崩した。
視界の端で、何かが弾けた。エフェクトみたいなものがかかる。
そして、
『スキル:女ったらし 発動!』
と、テキストが視界の下に表示された。
そして、バランスを崩し体勢を戻せなかった私は銀髪エルフっ子に馬乗りになってしまった。
「……っ!」
銀髪エルフっ子の顔が目の前にある。キスでもしそうなほどの距離。銀髪エルフっ子の息遣いがわかる。彼女はそれはもう真っ赤になった。
「な、ななな……! だ、だめ……近い……!」
両手を私の顔に押し付け、ぐいぐいと無理矢理距離を取ろうとする。
動揺やら、焦りやら、そういう感情が見えた。
「なんでかすごくドキドキする……ちょっと、や。やだ。恥ずかしい……」
まるで恋する乙女みたいな口調だった。
「……もしかして」
スキル説明を、恐る恐る確認する。
――――――――
『スキル説明』
・スキル:女ったらし 女性から無条件で好感を持たれやすくなる
[戻る]
――――――――
「…………」
「…………」
私は、天を仰いだ。
「神様ぁぁぁぁ!!」
こうして私は、女なのに女ったらしという意味不明なスキルを持ったまま、異世界生活を始めることになった。
神様が天界で「『男ったらし』と『女ったらし』を間違えちゃった☆ てへっ☆」とか言っているのを私は知る由もなかった。
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