波立つ
うみの蜂
第1話
あの震災で、多くの命が奪われ、救われ、そして生かされた。
岩手県三陸地方で生まれ育った菅野賢治、27歳。2年前まで地元・岩手で国語教師として教鞭を執っていたが、震災を機に教職を離れ、工事現場を転々としながら日々をやり過ごしていた。
そんな彼が、今年の4月から神奈川県の私立聖学院で国語教師として新たな一歩を踏み出すことになった。
聖学院は幼稚園から高校までの一貫校で、生徒たちは海辺の豊かな自然に囲まれながら質の高い教育を受けている。大学進学率は非常に高く、卒業生には学者や政治家、文豪なども名を連ねるほどの格式ある高校だ。
一度も地元を出たことのない菅野にとって、なぜ自身がこの名門校で働くことになったのか、今も信じられない気持ちでいた。
震災後、あてもなく2年間を過ごしていた菅野を見かねた大学時代の教授が、彼に聖学院を紹介してくれた。「ここではない、どこかへ」と遠くへ行きたい気持ちを募らせていた菅野にとって、それはまさに降って湧いたような話だった。
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