第7話

「ダンジョンマスター様、無事エルフと見込みのある人間を連れてまいりました。その過程で2国の軍団を1つずつ潰すことにも成功いたしました。」

 そういってファズが私の前で跪いている、また彼の後ろには彼に合わせたのだろうか、エルフと人間が跪いているのが見える。

 私は跪いているファズの肩に手を置いて、まずは無事に仕事を果たしてくれてよかったとほっと息を吐き声をかける。


「まずはファズに傷がなくてよかった、それにエルフの皆さんを連れてきてくれてありがとう、それから一人だけ人間がいるのはファズが認めた人間という事かな?それなら私としても何も言うことはないよ、お互いの自己紹介は後にして、エルフの皆さんにはまず休んでもらおうか」

 そう言って私はエルフの皆さんを連れて歩き出す、ちなみにエルフ達にどこで住んでもらうかについては当初ダンジョンマスターの部屋に寝てもらうつもりだった。

 ポイントを消費せずにある程度拡張が出来ることは判っていたので部屋を分けることは出来ないので申し訳ないが雑魚寝をしてもらおうと思っていたのだが、ファズを見送った後にいろいろと試したところ、プレゼントボックスのような機能があるのを見つけることが出来た、所謂ゲームでいうところのログインボーナスのようなものが入っているところで、その中を調べたらエリア作成(初期)というアイテムが入っていた。

 これはポイントを使わずに平野、森林、山等の初歩的なフロアを一つ拡張できると言うもので、その中で平野を選ぶと果樹や魚が釣れる釣りポイント野草が取れる採取ポイント等が複数存在するエリアだという事が判明、彼等にはこの平野エリアで過ごしてもらおうと思う。


 ちなみに森林エリアと悩んだのだが、森林エリアの方は食料になりそうなものが少なく、またエルフの森を思い出してトラウマが蘇ってしまうだろうか?と思って平野にしておいた。

 ただもし彼等がエルフの森のような森に再び暮らしたいというのなら、森エリアを新たに作る予定だ、その時はエルフの森がどのような感じだったのかファズに詳しく聞かないと……覚えてるよね…?なんだかさっきの報告を聞いてからファズが微妙にぽんこつな気がしているのだが……


「私達は人類の文明発展に協力しないといけないのにいきなり軍人とはいえ1000人近くを倒しちゃったのは管理者的にマイナスな気がするけど……まぁ、避けられない戦いだったのだろうし、仕方ないか」

 私はファズには聞こえないように気を付けながら小さく口にする。

 とはいえ恐らく自分から進んで攻撃しにいったわけではないだろうし、エルフを守るために必要な交戦だったのだろう、それを責めることは私には出来ない。

 まず今は私の後ろに恐る恐るついてきているエルフの皆さんを今日の生活場所に連れて行こう。


「さてエルフ諸君、君達にはこの階段を降りた先にある階層を自由に使ってもらって構わない、また川でとれる魚や果樹からとれる果実などは自由に食べてもらって構わない、君達の住む場所については改めて後日話し合いたいのだが、今一つ聞いておきたいことがある、君達はこれから住むのなら森の方がいいのかい?」

 私がそうエルフの集団の戦闘にある年老いたエルフに尋ねる、エルフはこの世界では長命で100歳程度まで生きる(人間の平均寿命が60歳ほどらしい)その中で年老いた見た目をしているという事は相当長生きをしているのだろう、そして先頭にいて私が何か話しかけた時に対応しようと身構えていることからそれなりに高い地位だと思われる。


 私の質問に何を言っているのか分からないという顔をするエルフの老人、ただ聞き返すのも失礼だと考えているのか、お互いに無言で見つめあうだけの時間が過ぎる。

 このままでは話が進まないと思い、もう一度私は同じ質問をする。


「君達は暮らすなら森の方がいいのかな?ほら、もしかしたら森で暮らすことにトラウマを持ってしまっているのかなと思って、もしもう森で暮らしたくないというのならこのエリアを自分達が住みやすいように家を建てたりして自由に過ごしやすく変えてくれても構わないし、もし森で暮らしたいというのなら、君達の為に暮らしやすい森を用意するけど、どちらがいいだろうか?」

 改めて私が問うと、エルフの皆さんは仲間内で顔を見合わせたあと、私が一番偉いと思った人物が私の質問に答えてくれる。


「森で暮らせるのでしたら森で暮らせるのが一番嬉しいですが、よろしいのですか?私達の為にそのような手間をかけてしまっては、私達にそれほどの価値はあるのでございましょうか?」

 ……ファズさんはこの人たちにいったい何を言ってどうやってここに連れてきたのだろうか、いや、元々この世界のエルフはこのくらい卑屈なのだろうか?とにかくなんだか妙に自己評価が低い彼等に私は微笑みながら、彼等の言葉を否定する。


「私達はそもそも貴方達この世界で元から生きている人たちの力になるようにとこの世界に呼ばれた存在なのです、私が貴方達を保護したのも貴方達エルフがこのままでは望まない生活を送るのではないかと思っての事、だから貴方達に価値がない等ということはないのです、ただ私と共に生きてくれるだけで貴方達には価値があり、さらに貴方達エルフの持つ優れた技術などを未来に残し、さらに洗練してくれれば私としては嬉しい、そう思っています」

 私の言葉にエルフ達は信じられないという顔をしているが、本当にファズは彼等にどんな説明をしたのだろうか……と思っていると、エルフの老人が頭を下げてこちらに跪きながら顔だけを上げる

「許されるのであれば、故郷に帰りたいとは申しませんが、森で過ごすことを許していただきたい、我らは森で生まれ森で死ぬことを伝統としております、どうか生い先短い老人の願いを聞き届けていただきたく思います、その為に必要ならば私の命を捧げても構いません。」

「いや、いりませんよ、なんだと思われてるんですか私」

 さすがの反応に私は真顔になりながらエルフ達を眺めるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2026年1月21日 12:00
2026年1月21日 17:00
2026年1月21日 19:00

ダンジョンを作ろう!異世界文明強化物語 @kagetusouya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画