『貯蓄の番人 ―そのケーキ、誰の金ですか?―』成年後見人の報酬
春秋花壇
『番人の秤(はかり)』
『番人の秤(はかり)』
あなたの人生を、私は「数字」で受け取った 一千万なら二万円、五千万なら五万円 家庭裁判所が叩く、冷たい木槌(きづち)の音 それが私の「命の値段」と決まった日
「ケーキは買うな」と私は言う 「旅行は行くな」と私は笑わない あなたの貯蓄が増えるたび 私の報酬も、わずかに増える この醜い連動を、私は「職務」と呼び変えた
あなたは怒る 「これは私の金だ、何に使おうが勝手だろう」 私は答える 「いいえ、これはあなたの未来(あした)だ 死ぬまで枯らしてはいけない、最後の井戸水だ」
親族は陰で「泥棒」と呼び 世間は私を「冷酷な計算機」と笑う けれど、誰も知らない 通帳の残高が減るたびに 私の心も、身を切られるように削れていることを
一円単位の正義の裏で 私はあなたの「幸福」を、検閲(けんえつ)し続ける ショートケーキの苺をあきらめさせて 私は自分のパンを買う そのケーキは、一体誰の金でできているのか?
本人のためか、自分のためか 守っているのは、財産か、それとも制度か 夕暮れの病室、空になった通帳を抱きしめて 私は今日も、 あなたの人生を「計算」し続ける。
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