ワイルドなキツネの話


最近、街のあちこちで『ズートピア2』の話題を見かけますね。


映画の盛り上がりを喜ぶ一方で、私はここで一つだけ、声を大にして言わせてください。



「私は、彼が世界中の人気者になるずっと前からの……古参ニック・オタクです!!!」



遡ること、前作(無印)の公開当時。

私は映画館の暗闇の中で彼に出会い、その魅力に射抜かれました。LINEスタンプの「俺のこと好きなんだろ?」という、あの心憎い台詞を何度連打したことでしょう。


当時はまだ今ほどグッズも多くなく、血眼になってニックの面影を追い求めていたものです。


なかでも忘れられないのは、クレーンゲームの景品だったニックのフィギュアです。ゲームが苦手な私は、半分泣きべそをかきながら、機械に何度もコインを吸わせました。


気づけば、後ろにいた見知らぬおじさんたちが「がんばれ、あと少しだ!」と応援してくれていて……。あの瞬間の、ちょっぴりカオスで温かな光景は、今でも私の大切な思い出です。


そんな苦労をして手に入れた、私だけのニック。

それなのに、今や彼はどこへ行っても大人気。



「ニックは、私だけの男だったはずなのに……」



人気が出てほしいと願っていたはずなのに、いざ皆のものになってしまうと、心のどこかで独占欲がちくりと疼く。


喜ばしいけれど、どこか遠くへ行ってしまったような、この複雑なファン心理。


まったく、オタクというのは、つくづく難しいお年頃ですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る