第四話 廊下の邂逅
割れたガラスの穴を、破片に気を付け、丁寧に広げていく。
腕を通し、反対側の一門字の形のシリンダーを、摘まみ起こす。
小さくも正確な音が、開錠を告げる。
俺は、ドアを静かに開けて、周囲をみる。
ここは廊下らしい。
様々な物がそこかしこに、転がっている。倒れたベッド、割れた瓶、散らばる書類。
かつての誰かの所有物は、窓から差し込む夕日が静かに照らしていた。
静かに足を動かす。薄汚れた紙が足元を塞ぐ、手に取る。ほとんど汚れと、破れで解読できないが、隅の日付は少し読めた。
『
俺の記憶から、最低五年は経っているってことか。
不意に向こうの曲がり角を、何かが横切った。
倒れているベッドに身を隠し、息を殺して、夕陽の向こうを見つめる。
特殊部隊のような装備の奴が、こちらには気付かず、近づいてくる。
フルヘルメットのガスマスクを付けて、表情はわからない。
俺は立ち上がり、銃を構える。
「止まってください! 俺は、あなたを撃つつもりはありません! ですが」
「え、あ」
女性の声だ。
聞き覚えのある。
言葉を続ける。この先はマスクを取ると危ないと言うことを伝えないと!
「この先は、流行病が発生しています! マスクを取らずにこのまま引き返してください! 俺は決して、あなたを後ろから撃ったりしませんから、そのまま、こちらを」
「
「え、その声は」
ああ、忘れもしない! 記憶の声と違い、少し大人びた低い声だけども、間違いない! は彼女!
「私よ! 京香よ!」
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