あまりにも好きすぎて、両手で収まらないほど読んでいます。
登場人物、描写、展開、すべての完成度が高く、初めて読んだときには思わずため息が漏れました。
登場人物は、演劇部の高校生三人です。全員が個性的で魅力的で、それでいて現実味があって、ずっと虜になっています。決して多くはないこの文字数で、三人それぞれの性格や考え方まで全部伝わってくる解像度の高さ。三人とも文章の中で確かに生きていて、本当に世界のどこかに存在するのではないかと思ってしまうほどでした。
描写は、上手いの一言に尽きます。月夜の体育館というあまり見ない舞台にもかかわらず、情景がドラマのように目に浮かびました。特に月と光の描写が綺麗で印象的でした。状況説明も工夫されていて、冗長ではなく、かといって過不足もなく、技量の高さを感じました。ところどころに演劇に関する比喩があり、それを見つけるのも楽しかったです。
そしてなにより心情描写、主人公の感情が手に取るように届いてきました。共感できるシーンがとても多く、この感情って言語化したらこういう風になるんだ、と一種の気づきのようなものも得られたように思います。主人公の感情の移ろい、それを表現する文章のひとつひとつが美しかったです。
展開は、色々とネタバレになってしまいそうなのでアレなんですが、情報の出し方がすっごく巧みで、小さな伏線回収のようなものがいくつも重なっています。読み進めるたびに、うわここでさっきの台詞回収するんだ、と何もかも腑に落ちていく感じが本当に心地よかったです。着地点も綺麗で、劇のように鮮やかで、本当に面白い小説でした。
長々とごめんなさい。素敵な物語をありがとうございました。ずっと大好きです。