スイートピー
茶村 鈴香
スイートピー
夫が初めてくれた花束は
スイートピーだった
ピンクと薄紫の
儚くて淡い色合いの
スイートピーも甘く香る
その時知った
スイートピーの花びらをつけた
妖精がどこかにいる気がする
羽ばたきはほんの少しの
幸福と甘い香りをもたらして
深呼吸することを
思い出させてくれる
毎日水を換えたけど
花の命は短かかった
ドライフラワーにも出来ず
ただ散った花びらを集めて
風を通して乾かして
小さい箱に入れていた
プレゼントを考えるのが
苦手らしい彼は
記念日によく花束をくれた
赤い薔薇だったり
紫のトルコ桔梗だったり
大きすぎない百合だったり
そのうち私は欲深くなり
バッグが欲しいだの
時計が欲しいだの
ヒールの靴が欲しいだの
指定して買ってもらう事を
覚えてしまった
近頃は
誕生日プレゼント何がいい?って
聞きもしなければ
聞かれもしない
靴もバッグも時計も
もう新品はいらない
何にも言わずに花束を
差し出してくれたあの頃が
いちばん贅沢だったんだな
センスなんて良くなくていい
高価で珍しい花じゃなくていい
大切に抱えて帰って来てくれる
それがいちばんのプレゼントだったね
今年はもう少しだけ
あなたに寄り添えますように
バレンタインにはチョコレートと
スイートピーの花束を手渡そうか
スイートピー 茶村 鈴香 @perumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます