ep.10

2人にホットケーキを食べさせていると、サリアの傍に誰かが近寄ってきた。

シスター?


「随分と楽しそうね、サリアちゃん」

「助かるよマザー。まさかここまで知らないで来るとは思わなかったからさ」

「いいのよ。私も久しぶりに会えたし」


知り合い……なのか?

少なくともこんなシスターは見たことがないぞ。


「あー、えっと、どこかで?」

「ほらー、やっぱりわかんないって言ったじゃん」

「リベットちゃん、私よ私」

「あん?」

「あ、な、た、の、マザー♪」


……あー。


「おふく……失礼、マザーもやってたんだな、VSW」

「そうよ? ついでに言うとファーザー達もいるわよ」


親父もか……

達……って言うことは


「リンとケンもいるのか?」

「いるわよ。リンは情報屋でケンは鍛冶屋だったっけ?」

「積もる話は後にして、教会に案内するわ。王都にも支部があるのよ」


あんまり行きたくねぇなぁ……

お袋と親父がシスターと神父やってる姿とか想像できないし、したくなかった……


『随分愉快な家族だね、リベット』

「お前の所も似たようなもんだと思うが?」

『うーん……言われてみれば、昔別れたメンバーも似たような感じだったかも……?』


ホントに濃い旅してたんだな。

他のメンバーも濃かったとは……4人も大概だったが。


「お父様、こちらがお父様のお母様ですか?」

「お父様、この方がお父様の御母堂ですか?」

「「とても素敵な方ですね、お父様」」

「……まぁ、良くはしてくれたな」


迷惑もかけたが……愛情もあったと今なら思うよ。


「あらー! リベットちゃん、いつの間にか父親になっちゃって!」

「違うって言ってるだろ……」

「ウフフ、あのリベットちゃんがねぇ……」


感慨深くしてるところ悪いがとっとと移動するぞ。

席を立ち、レジに向かう。

機械がある世界観だし、レジもあって当然……か?


「会計を頼む」

「400セーリになります」


パンケーキとプリンでこれか……

もうスッカラカンだな……


店の外にでると、馬車が止まっていた。

馬……馬か? 6本もある馬もいるんだな。


「これはセイホース。見ての通り6脚の馬よ」

「普通の馬より走る速度がすごいのよ〜」


ほー……そこはゲームっぽくあるんだなー。


「ささ、全員乗ってちょうだい。王都は広いから馬車で移動した方が早いのよ」

「お、おお」


馬車の中は中々に広かった。

座る場所もあるし……金貯めて買うのもいいな……

乗り込むと、リルナとレルナが片手を伸ばしてぴょんぴょん跳ねながら、縁に捕まろうとしていた。

ステッキを持っているから片手なのはまだ分かるが、飛べばいいのでは……?

と思ったが、口に出すのもアレだしな。

とりあえず降りて1人ずつ持ち上げる。

さっきはリルナからだったからな。

まずはレルナを持ち上げると、


「お父様! これが噂に聞く高い高いですか!? 楽しいです!!」

「お、お父様! レルナだけずるいのです! 私たちにもお願いします!!」

「分かった分かった。順番だぞ」


後ろでニヤニヤしてるのは分かってるんだぞ、サリア。

律儀に順番待ちしてるミウロゥは……まぁ、左手だけじゃ辛いわな。

何とか乗れそうな気もするが。

全員乗り込んだところで、馬車はゆっくりと動き出した。

少しずつスピードが上がるにつれ馬車はガタガタ揺れ始める。


『馬車、か……』

「ミウロゥは好きじゃないのか?」

『揺れるのがね。それにあの時は途中から竜の背中に乗ってたし』

「随分と豪華な話だ」

『フフフ、リベットもそのうち乗せてあげるよ。アレもリベットのこと気にいると思うし』

「どんな竜だよ……」


確か竜王にあったんだったか……その配下とかか?

流石に王の背中に乗れるほどの度胸はないぞ。


「お父様、竜の背中に乗りたいのですか?」

「お父様、竜をペットにして乗りたいですか?」

「「お父様の頼みなら、私たちなんとでもしますので」」

「やめなさい、竜が可哀想だろ」


なんとなーく負ける未来が見えねぇんだよなぁ……なんでだろ。


「やっぱり父親じゃん」

「……もうそれでいいよ……」


しばらくガタガタ揺られていると、馬車が止まった。


「着いたわよ〜」

「んじゃ降りるか」


降りる時も3人がこっちを見ていたから順番に降ろす。

流石に降りることは出来ただろう……


「ようこそ、教会へ♪」

「おお……現実とあんまり変わらないんだな?」


想像していた教会はもっと大きくて三角屋根をしていたのだが、実際にはただの小屋みたいな場所だった。


「そこまで大きくなくてもいいかなって。ささ入って入って」


扉を開けてまず目に入るのが大きなステンドグラスだった。

青を基調に様々な色で造られたそれは見事の一言に尽きる。

そして、祭壇の近くに背の高い男、横に長い席の右と左にそれぞれ頭だけ生えてるが……


「ようこそ、迷える子羊よ。今日はどのような懺悔をしにきたのかな、フッフッフッ」

「ファーザー……か?」

「如何にも、我が息子よ。お前の父であり、迷える子羊達の父親でもある。しかし、お前も立派な父親になっているではないか。父は鼻が高いぞ、フッフッフッ」

「怪しい神父だな、おい」


ちゃんと神父やってるのか?


「お父様、アレがお父様のお父上ですか?」

「お父様、あの怪しい神父がお父上ですか?」

「「お父様、騙されていませんか?」」

「大丈夫だ、多分」


教育に至極良くないことだけは確かだが。


「お前の娘ならば、私たちの孫でもある。つまりはおじい様ということになるぞ」

「その歳でジジイは早すぎるだろ」

「もう引退してもよかろう。次世代に引き継ぎ、残りの生を謳歌するのも悪くない」

「ファーザー、からかうのは辞めたら? 兄様も困惑してるわ」

「おお、我が娘よ。己が父になんという……からかいなぞしてはおらん。少し遊んでいただけだ」


遊ぶなよ……

で、席に座っているのが


「レン、いたのか」

「ご機嫌よう、兄様。貴方の愛しい妹、レンですわ」


左から生えてる頭がニョキっと伸びたと思ったら小さい種族を選んだのか。

というかホントに小さいな?

妖精……ってやつか。

羽を震わして浮いているから、さっきは頭だけ見えていたんだな。


「俺もいるぜ〜、兄貴」


今度は右から生えてる頭がニョキっと伸びた……ずんぐりむっくりだな?

ということはドワーフってやつか。

種族選択にあったが……鍛冶と採掘に特化しすぎていてあんまりだったんだよな……

俺が選んだヒト族はバランスのいいステータスになるらしい。


「ケン。ということはホントに全員やってるんだな」


まさかゲーム内で家族集合とは。


「それで、我が息子よ。このフリヘイトの世界で何を学んだのだ? マザーから聞くに、ほぼ何も知らないということだったが」

「聞いてよ、父さん! 兄さんったら住民どころかプレイヤーの名前を見ることすら知らなかったのよ!」

「なんと……! それは重罪だぞ、リベット。今すぐに懺悔をしたまえ。私がお前の罪の告解を聞こうではないか」

「どんだけ重いんだよ……」


とりあえず、だ。


「ミウロゥ、悪いが少し離れた場所にいてもらってもいいか? リルナとレルナもだ」

「お父様、私たちがお邪魔なのですか?」

「お父様、私たちはお払い箱なのですか?」

「「ど、どうかお許しを、お父様!」」

「違う違う! ちょっとあの胡散臭い神父と話すだけだ!」

『分かった。3人で待ってるから』


ズルズルとリルナを引きずっていき、レルナは少し右往左往していたが、リルナの元へと走っていった。


「ふぅ……で?」

「良い父親をしているでは無いか。感心したぞ」

「あれが兄貴のパートナー? ずいぶん珍しい人型のパートナーだなぁ」

「兄様、これからは私に随時情報を。あのような人型タイプのパートナーは情報にありませんの」

「さぁ、兄さん。キリキリ吐いちゃいな!」


帰ってもいいか?


「とりあえずイチから簡単に説明するからよーく聞いてくれよ」


ということで、王都でメニーリア先生と出会う所まで掻い摘んで話すと、


「ミウロゥ……隻腕隻眼の少女……まさか!」

「知ってるの、レン?」

「姉様! あの方は勇者様ですわ! 冒険者ギルドに所属している住民で知らない者はいないと言われているあの!」

「ええ!?」


妹2人がうるさいし、


「マジかよ……あのプロテージャーを倒しちまうのか……しかも解体まで終わってるとか……なぁ、兄貴! なにか素材持ってねぇの!?」

「頭ならあるぞ」

「おお、これが……これでなにかいい防具を作れそうだ!」


弟が1人で盛り上がっていたり、


「満月花と新月花……リベット、よければ私にも分けてくれないか? もしかしたらクエストが進みそうなのだ」

「お、おお。そりゃいいが……クエスト?」


親父に花を分けたり、


「あの2人以外に何十人もトランプの兵士を出せるなんて便利ねぇ〜」

「時間制限付きだし、多分ランダムだぞ」

「それでもよ。数は多いほど正義だもの」


ウフフと笑いながら物騒なお袋にちょっと引いた。


「さて、と。では根本的な説明からしようではないか」

「サンキュー、ファーザー」

「うむ。まずはウィンドウを呼び出したまえ」


言われた通りに開くと、


【リベット】【ジョブ:】

【武器:なし】

【スーツケース】

【パートナー:トランプ兵士】

【所持金:90セーリ】

【クエスト】〘NEW〙

【システム】


クエスト?


「その顔から察するに今気づいたようだな」

「あ、あぁ。クエストなんてなかったぞ」

「王都に入って特定のタイミングで追加されるのだ。これからはよく開くように」


特定のタイミング……メニーリア先生の病院を出たあとか?


「恐らく、お前にクエストが追加されたのは病院を出た後だろう。クエストを開いてみろ」


【クエスト】

●満月花を採取し、王都に届ける

・満月花の採取〘クリア〙

・メニーリアに届ける〘クリア〙

・マエロから報酬をもらう〘NEW〙


●世界各地を巡る

・王城に入る

・火山の奥へ入る

・妖精の森・離れに向かう

・地底世界に進入する

・賢者の塔を訪れる

・東方の国を訪ねる

・東の更に果てで変わり者と会う


おお……なんか色々すごいな?

上は冒険者ギルドのギルドマスターから受けた依頼、クエストになるってわけか。

で、下が……これチュートリアルに聞いたやつと賢者の塔以外はミウロゥが言ってた場所じゃねえか。


「表示されているクエストには種類がある。片方はメインクエスト、要は自分だけのオリジナルストーリーだ。もう1つはサブクエスト、つまり住民や我々からの依頼が表示されるのだ」


世界各地を巡ることが俺のメインクエストってわけだ。

……これホントに行けるのか……?


「ちなみに私のメインストーリーはこうなっている。迷える子羊達に神の教えを説きなさい、と。人数は100人とかなり多くはあるが、もう少しで達成する。ちなみに数に含まれるのはこちらの世界の住民に限るのだがな」

「ファーザーが神の教えを……?」


神父なんだから当然なんだが、現実の親父を知っているだけにちゃんとできているのか不安になる。


「もちろん、最初はそんなつもりはなかった。だが、いつの間にかこうなっていてね……私も少々困惑しているのだよ、フッフッフッ」

「随分楽しそうじゃねぇか」


困惑してるとは一体。


「アタシはねー、各地のボスモンスターを他のプレイヤーと協力して倒すことがクエストになってるよ!」

「たしか……傭兵をやってるんだったか」


それでそういう系統のクエストか。


「私はこの世の情報全てを手中に収めることが目的ですのよ」

「クエストを達成しろ、クエストを」


フフフ、じゃねぇのよ。


「俺は伝説の武器を造ることがクエストだな。クッソ大変だけど、楽しいぜ!」

「魔王でも倒すつもりか?」


この世界に魔王いるっぽいんだよなぁ……ミウロゥが戦ってるし。


「私、メインクエストが一旦終わりを向かえちゃったのよ〜。まだ出てこなくって」

「マザーは一旦終了か。何かやり残したことがあるとかかね?」


出ないこともあるんだな。


「それで、我が息子リベットよ。お前のメインクエストはどういうものなのか教えてもらおうか」

「俺は……世界各地を巡ることだな。とりあえず王城に入って……」


これ果たして言ってもいいのか……?


「どうした? 続きはあるのか?」

「……ビックリするなよ? 火山の奥へ入る、妖精の森・離れに向かう、地底世界に進入する、賢者の塔を訪れる、東方の国を訪ねる、東の更に果てで変わり者と会う、だ」


クエストにでている地名とかを読み上げるともれなく全員ポカンとしていた。

だから言ったのに。


「に、兄様。その……色々と聞きたいことがありましてですね?」

「話ならミウロゥに聞け。俺は彼女から話を聞いただけで、クエストは勝手にでていたんだ」

「そ、そうではありません! というか気軽に勇者様とお話出来るわけがありませんのよ!」


はるかに小さいヤツが耳元で騒ぐんじゃない。

羽が擦れてちょっとこそばゆい。


「いやはや驚いた。我が息子ながらとてもビッグな目標ではないか」

「ビッグって言う点ならファーザーも似たようなもんだと思うが?」

「私なんてたかが知れていることだ。だがね、お前のあげた地名その全てが、初めて聞いた情報だと言ったらどうする?」

「1年しか経ってないんだから知らないのも当然だろ?」

「今明かされている最新エリアは宇宙の手前でまだ解放すらされていない。しかし、情報屋でもある我が娘が聞いた事のない地名のようだ。今やプレイヤーの目は高い空の向こう側に行っているが……いやはや、どうしたものか……」


宇宙に行けるのか。

現実だと身近だが、こっちだとどういう感じなんだろうな。


「兄さんは知らないんだろうけど、初めてプレイヤーが踏み入ったエリアはね、ボーナスとかが入るのよ」

「ボーナス? ステータスとかにか?」

「ううん、まずは称号が貰えるの。なんとかのエリアに初めて踏み入れた者って」

「ほー……ということは宇宙にもあるのか?」

「今はロケット開発に忙しいそうだからまだ分からぬが……恐らくあるだろうな」


ホントに色々あるんだな。


「話を戻すとね、他にはワールドアナウンスが流れたりもするし、新しいエリアを解放する度に新規コンテンツが解放されるの。その新規コンテンツを先にプレイできたりするし、ようは色々得なのよ」

「ふーん……そういえば、お前がこの間言っていたあの巨大な虫はどうだったんだ?」

「あ、あれは……その……」


どうにも歯切れが悪い。

なんか嫌なことがあったな?


「フッフッフッ、我が息子よ。我が娘の嫌いなモノを覚えているだろう?」

「虫全般が嫌いだし、中でも多脚類の虫は特にだったな」

「かの王国、バグズキングダムはオーバーレイドによる攻略で道を切り開いた。ちなみにオーバーレイド用のパーティーを組んでいたため、全員が称号とボーナスを貰った」


パーティーを組んでいると全員もらえる、と。

勉強になるな。


「さて、称号はまぁいいだろう。どの道飾りにしかならんからな。だが、問題はボーナスの方だ。さぁ、何が問題だったと思う?」

「虫だろ? それの国……多脚類が苦手……虫との交流でも開いたか?」

「それもある。答えは自身の姿が虫そっくりになる装備が現状最新で最強ということだ」


それの何が問題……あぁ。


「この先新エリアを解放するためにその虫だらけの中パーティーを組まないといけないのか」

「そういうことだ。しかも、だ。虫そっくりの外見な上にサイズはそのままだ。虫の、ではないぞ?」


つまり俺がその装備を身につけると、このサイズの虫が出てくるって訳だ。

うわ……気持ち悪……


「次の最新装備がでるまで我慢すればいい話だが……今注目されているは宇宙なのだ。バグズキングダムより前にロケット出発エリアとして解放されたエリアではあるが故に、今しばらくは虫装備だらけだろうな」

「傭兵ってのは新エリアだけじゃなくてもいいのか?」

「もちろん、どのエリアでもいいのよ。ギルドからの依頼とかプレイヤーが直接依頼してもいいんだけど、どこに行ってもあの虫だらけで……うぅ……」


傭兵も大変だな……


「そこでお前のクエストだ。どれも聞いた事のないエリアだ。ワールドマップを見ても恐らく見つけることは不可能だろう」

「ワールドマップ?」

「王都のギルドで配布されている世界地図だ。あとで寄るといい。このフリヘイトの世界で解放されているエリアは合計50。これは種族ごとに分かれている最初に訪れる街も含めた数だ」


1年で50か……で、次が宇宙?


「エリアって順番あるのか?」

「特にはない。が、解放される度に敵の強さは増していく。50番目はかのバグズキングダムだ」


そこでオーバーレイドならこの先きつくなりそうだな……


「火山の奥とはおそらくこの辺りだろう。ここには活火山が近くにあるとのことだ。だが妖精の森、賢者の塔に至ってはまるで見当がつかん。地底世界なぞそもそもワールドマップにすら載っていない可能性がある」

『行き方自体は簡単だよ?』

「ミウロゥ。向こうはどうした?」

『キミのマザーが相手してるよ』


見てみればマザーと2人が遊んでいた。

マザーに遊ばれていると言った方が正しいか?

楽しそうだからまぁいいが。


「で、簡単って?」

『ここ、火山の河口から直接入るの。燃え尽きるくらい熱いけど……あぁ、あの時は竜王の加護を貰ったんだった』

「まさかの竜王かよ」


地底世界に行こうと思ったら、まずは火山の奥に行かないといけないのか。

前提条件がだいぶキツイな。


「ふむ……ミウロゥ殿にお聞きしたい。冒険者ギルドを通して依頼という形で我々異界人を案内することは可能だろうか」

『どうしても困ってるなら手伝う、そうじゃないならダメかな』

「理由をお聞きしてもよろしいか?」

『まず危険すぎる。次に竜王が許可を出さない。例え出したとしても、地底世界は遊びに行くような場所じゃない。あそこを治めるは魔の王、通称魔王だよ? そんな世界に住む魔物……モンスターだから、もちろんそこら辺にいるモンスターとは格が違う。私も1人で地底世界なんて絶対歩きたくないし』


とんでも情報のオンパレードだな……

レンなんて泡吹いて倒れてるし。


「なるほど……では許可を取るためにはどのようにすれば?」

『竜王に勝ったらいいよ。アレは自分を倒した相手となら話だけは聞くから』

「竜王と……なるほどなるほど」


1人頷くファーザー。

まさかとは思うが……


「特攻でもするのか?」

「フッフッフッ、まさか。私1人でどうにかなる話でもあるまい。ところで、我が息子よ。穏やかで波風1つ立っていない池に石を1つ投げ入れたら果たしてどうなると思う?」


突然なんだよ。

そんなの波紋が広がるだけ……


「他の異界人達か」

「ご明察。公式掲示板というものが存在するのだが、今はロケット開発で生産職や素材集めに奔放しているプレイヤーなどは大忙しの反面、戦闘職のプレイヤーは精々適度に納品をする程度。活躍の場は宇宙に出てからになるのでな。つまりは暇を持て余しているのだよ」

「他の異界人に伝えてもいいか、ミウロゥ?」

『いいと思うよ。いつかは知られることだし、アレも多分暇そうにしてるだろうから。場所は……うん、だいたいこの辺りを探したらいいんじゃないかな?』


世界地図に描いてある山の周辺をグルリと囲うように円を書く。

結構広いな……


「ご協力感謝いたします。他のエリアに関しても伝えてよろしいですかな?」

『賢者の塔と妖精の森? いいけど、場所までは教えられないよ? 妖精の森に関しては誓約を結んでるからね』

「それでもそういったエリアがあると言うだけで、我々異界人は浮き足立ってしまうものなのですよ」


よく分かってない顔をしてるミウロゥ。

大丈夫だ、俺もわからん。

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