1章 7部「逃げ足は速かった 1」

  アカリが得た情報は、会談が罠であったこと。

 そして、猫が息絶える間際に聞こえた「真ん中にいる者のみ捕縛せよ。他は殺せ」という声までだった。


 これを一刻も早くシズクに伝えるべく落馬の危険を承知で、夜道を馬で疾走する。

 月は何かを暗示するかのように赤黒く輝いていたが、月光は出ていたので大まかな地形は夜でも見通すことができた。

 夜道なので安全にかつ早く着くには、一度遠回りになるがムタイ邸のある町を経由する必要がある。

 アカリの馬は通常の馬とは違い、魔力で補助すると速さや持久力を格段に向上させれる。


 おかげで行きの半分程度の時間で町まで戻ってくることができた。


 しかし、町に近づくとすぐに異変に気が付く。

 町の一部が昼間のように明るく、はっきりとは見えないが黒い何かが空に昇っている。


 (まさか同時に屋敷も襲ったのか……?)


 だが、確認しに行くと余計なことになりかねない。

 彼女は、町の横道へ入り人目につかないよう迂回してシズクの元へ急いだ。

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