NTR主人公に転生した俺は恋愛したくない。

@megumegushinja

第1話 最悪すぎる転生とその結論

(あ、俺、転生したんだな)


 目の前の見知らぬ天井を見て俺は一人つぶやく。転生ものの小説を数多く読んでいたため不思議と冷静だった。


(っと、まずは誰に転生したのか確認しないとな)


 あたりを見渡して鏡を探す。赤ん坊ではないということは誰かに生まれ変わったはず。もし物語のキャラに転生したのならその知識を活かして無双やハーレムできるはずだ。まぁ、転生の依代となった人には申し訳ないけど。少しの罪悪感を感じていると、ベッドの横に蛇の模様のある手鏡を見つけた。


(さて、誰に転生したのか。転生ものの相場だと竿役や悪役か?まぁどうなったとしてもこれで俺の理想の人生が!!)


 高揚感に身を包まれながら自分の顔を見た。


 鏡にはエメラルドの輝きを放つ目を台無しにするぐらい整えられてない肌とボサボサの髪を持つ男が写っていた。


『なんで、どうして、よりによって。』


 俺は嫌悪感と共にベッドへと倒れた。

最悪というものはこれなんだなと細胞全体で理解させられている。


その顔は自分にとってトラウマな学園漫画の主人公、ウゥル・ウィーキオ、そのものだった。彼は身の回りのヒロインが、気付かぬうちに全員寝取られてしまうのだ。普通の恋愛漫画だと思って読んで、心をズタズタに引き裂かれたのでいやでも覚えている。


『なんでよりによってウゥルなんだよ!!もう思い出したくもなかったのに。』


 怒りにまかせ、ベッドを打ち続ける。それを具体的にはわからないけど30分ぐらい続けると少し落ち着いてきた。


(そういえばそもそもいつのウゥルなんだ?)


 勝手に本編後だと思っていたが、いたとは誰にも言われてなかった。近くの机に日記帳が置いてあった。確か毎日書いてたはずだから信用できる。そう思いながら見ると、本編開始から一年前、一年生の頃であることがわかった。


(いまならまだ寝取られない!止められない!)


 安堵したがまた冷静になる。


(いや、本当にNTRを妨害したところでいい結果なのか?)


 NTRたヒロインたちは皆幸せそうになったことを思い出す。それに、特にコミュニケーションもとったことのない俺では防いだところでまた、NTRが起こる可能性もある。


何時間もベッドで悶々として、俺は一つの結論を出す。


『俺はもう、どのヒロインとも関わらず、モブのようにして生きる。』


 ヒロインたちにとっても俺自身にとってもそれは最良の選択だろう。俺は何もできないから。

 









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