生き残りを懸けたバトルロワイヤルで突如として存在しない記憶がヒロインに発生した事で主人公との恋愛感情が発展するが、主人公は何も知らない、現代ファンタジー

三流木青二斎無一門

第1話

衝突。

激しい破壊音と共に壁に叩き付けられる男性。

改造された学生服を着込んでいる彼は、この街では噂の不良生徒であった。


名前は式崎しきざき荒哉あらや

彼の手元には携帯端末『アルカヌム』を所有する。

元々は二週間前に式崎荒哉宛てに届かれたスマートフォン型の携帯電話だった。

だが、所有者として認められた式崎荒哉は、自動的に参加する事になったのだ。


『アルカナディア』と呼ばれる、勝者だけが全てを得るバトルロワイヤルの舞台へ。


そして現在。

式崎荒哉はアルカナ所有者である参加者との戦闘を行っていた。

いや、圧倒的実力差故に、戦闘とは程遠い、一方的な蹂躙。


「これで終わり?」


静かに声を掛けるのは、一人の少女だ。

銀色の髪にサファイアカラーのメッシュが入ったポニーテールの少女。

コートの様に長い黒色の戦闘服を着用する彼女の脚部には大型の車輪が機械律めいた駆動を見せる武器を装着している。


彼女は『戦車』のアルカヌムを所有するアルカナ所有者オーナーである。


『アルカヌム』には様々な機能が付随しているのだが、その中でもとりわけ重要視されているのが現実とリンクしたスキルツリーであった。

アルカナ別によって多種多様なスキルツリーが存在し、特に彼女の『戦車』のアルカヌムは、近未来の科学兵器が多く並ぶウェポンスキルが多く、彼女の脚部に装着された大型の車輪も、その武器の一つであった。


「そのアルカヌムを寄越せば楽に殺してあげる、渡さないのなら……轢殺れきさつしてでも奪い取る」


だから、選べと。

少女の言葉に式崎荒哉は血液が混じるツバを吐き捨てると共にゆっくりと立ち上がる。

このまま、相手の良い様にされた挙句、殺されるなどまっぴらゴメンだと、式崎荒哉は思った。

彼の反骨精神は、彼の人生に反映された事で社会不適合者として認識される様に成ったが、決して後悔などしない。

何よりも後悔すべき事は、自分の意地を張り通せず、醜く主義主張を曲げてしまう事。

それは最早、死んだも同然である……ならばこそ。


「媚売って死ぬくらいならよォ、意地ィ張って死んでやるよ」


意地と無謀。

誰もが彼の死は必然と認識するだろう。

しかし、何故だろうか。

銀髪の冷徹なる少女……アリサ・シルプス・アルビオン。


「……え、あ?」


頭を抱え込み、その台詞が海馬の奥深くを突く。


『媚売って死ぬくらいなら……死んでやるよ』


断片的に流れ出す台詞が彼女の脳漿を掻き回す。


「う、ぐぅ……ぁ、あッ」









苦しみの果て、彼女の脳裏には―――走馬燈めいた記憶が甦った。



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