祝賀寺ポリ助の逆転祝い 〜AI禁止なのにDX推進!? 編集部の狂気が止まらない〜

神霊刃シン

カクヨムコンテスト11【短編】

お題フェス「祝い」

第1話 AI禁止郎、編集部に立つ! 🤖🔥

 2025年11月18日――文学界が一瞬で燃え上がった日だ。

 ポリファアルス社が発表したのは、たった一行。


 【AI生成作品の禁止】


 その文字は、導火線に火が走った瞬間みたいにネットを爆発させた。

 受賞作の一つが『AI使用判定』で焼かれ、受賞取消・書籍化取り消しのコンボ。

 SNSは真っ赤に燃え、「#AI禁止」「#文学の終焉」が踊り狂う。

 創作の自由は、赤い警告灯が点滅する檻に閉じ込められた。


 そして令和8年――春。



 🌸 🐎 🌸 🐎 🌸



「祝いって、何を祝うんすか?」


 部署異動初日の朝、俺は編集長に聞いた。

 編集部はLED照明の白い光に満たされ、デュアルモニターがずらり。

 その横に、なぜか使い込まれた赤ペンが一本。


 ――令和なのに赤ペン?


 いや、ここは編集部。伝統とデジタルの奇妙な同居は日常らしい。

 冷めかけたカフェラテの紙カップが、その違和感に拍車をかけていた。


 編集長はコーヒーをすすりながら、さらりと言った。


「取り消しだよ」


 昨日の天気みたいな軽さで言うなよ。


「【バツヨムコンテスト11】の受賞取り消しを祝うんだ。これが新サービスだ」


 俺は固まった。祝いと取り消し。水と油。


「ひ、ひでぶっ」


 ――いや待て。取り消しを祝うって、どんなブラックジョークだよ。


 ここはバツヨム編集部。

 AI生成作品禁止の炎は、ここまで飛び火していた。


 文章の大部分がAI生成なら失格。画像もアウト。

 許されるのはプロット検討や校正など“補助的利用”のみ。

 受賞後にAI使用が判明すれば、栄光は取り消し、出版も白紙。


 ――祝うべきは創作か、規制か。誰も答えを持っていない。


 俺が編集長の言葉に衝撃を受けていたその瞬間、ドアが開いた。


 逆光に浮かぶ黒いサングラスの男。

 昭和のアクション映画から抜け出したような存在感。


 黒のロングコートは風もないのに揺れ、肩には謎の金刺繍。

 髪はジェルで固めたオールバック。

 胸元には「AI撲滅」のバッジがギラリ。


 ――編集者じゃなくて、終末戦士だろ。


「お前は――新世紀編集者、AI禁止郎!」


 編集長がわざとらしく驚く中、男はポーズを決めて低く言った。


「AIの文句は俺に言え」


 ――いや、言えじゃないよ! てか、その衣装どうした?


 俺はスマホを握りしめ、通報しようか本気で悩んだ。


 ――不審者だろ、これ。


 だが周囲の編集者たちは冷静そのもの。


「また始まったか」「今日も派手だな」


 ――え、これ日常なの?


 俺は悟った。

 時は新世紀。編集部はAI生成作品禁止の炎に包まれている――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る