得意料理
鈴木まる
第1話
土曜日の夜。秋も深まってきたこの頃は、風呂上りに薄着でいるとすぐ冷えてしまう。私はよれよれの長袖Tシャツとジャージの上にくたびれたパーカーを素早く羽織った。
「さて、と」
私は長い髪を一つにまとめる。材料は不足なく買い揃えた。さあ、調理を始めよう。
まな板と包丁を出す。一人暮らしの狭いキッチンで料理をするには、少しコツが必要だ。材料や調理器具は最小限出し、レンジ上や流し(もちろん、きれいに洗ってある)も置き場所として活用する。
自分が食べる分だけだったら、こんなキッチンで料理なんてしようと思わなかっただろうな、と思ってしまい頭を振る。
「節約になるし、身体にもきっといいし!絶対するな、一人でも!」
自分以外誰もいない部屋で私は一人大袈裟に頷き、冷蔵庫から長ネギを取り出す。まずはたれからだ。今日のメニューは得意料理の油淋鶏。
そう、彼の好物だった油淋鶏。
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