第4話 錬金術士ドワーフに会う
廃坑の奥に進む。
今まで気づかなかったが
手引書は開いたままの状態では光を発していることが分かった。
なんというスマホ。
暗闇でも読みやすい、親切設計だ。
手引書を開いてそれを前に突き出しながらへっぴり腰で進む。
もう少しスマートに行きたいが仕方ない。
いざというとき液体窒素を噴射して逃げるという寸法だ。
しばらく進むと少し広い場所に出た。
椅子や机のようなものが並べられている。
その周りはたくさんの梯子が壁にあけられた穴から下がっている。
坑道の休憩所みたいだ。
もしかしたら水が、あわよくば食べ物もあるかもしれない。
いや、食べ物があっても腐ってるだろう。
だいぶ長い間放置されているようだからな。
しんと静まり返った坑道の広場。
「ふうっ」
とため息をつくとため息が広場に行き渡るような感じだ。
そばにあった椅子に腰を下ろす。
そういえば錬金術しながら歩き通しだったな。
疲れた。
誰か癒してくれ。
鉱山ならドワーフ娘か。
そう、俺はシチュエーションを大事にするのだ。
もし鉱山に人魚がいたら、なんか萎えるだろ?
打ち捨てられた鉱山を彷徨う俺。
昔この鉱山で死んでしまった親を思い出し
その弔いにたまたま訪れたかわいいドワーフ娘。
もちろんロリ巨乳だ。
ただし俺はロリではない。
低身長が好きなんだ。
断じていうがロリではない。
よし
探しに行こう。
と思って立ち上がろうとしたとき
ぴちょん
水が落ちるような音が聞こえた、
気がした。
坑道の休憩所。
井戸はなくても湧き水位はあるかもしれない。
もう一度耳を澄ます。
ぴちょん
やっぱり聞こえた。
手引書で辺りを照らす。
ここは体育館位の広さのようだ。
隅々まで探しても大して時間はかからないだろう。
「助けて・・・」
今度は女性の声だ。
廃坑でかすかに聞こえる助けを呼ぶ声。
これって駄目なヤツだよね?
行ったら食われちゃうとか呪われちゃうパターンじゃない?
怪談でしかないわ。
水場に巣食うモンスター?
まさか人魚?
セイレーン的な?
セイレーンなら助けを求めず歌うか。
そもそも廃坑でやらんか。
しばらく辺りを探してみると、少し低めの梯子の下。
第一村人発見。
梯子から足を滑らせて落ちたのか
俯せのまま動けないようだ。
流石に無視はできない。
喉は乾いてるが。
「大丈夫ですか?」
助けてというのはわかったんだから
ことばが通じないってことはないだろう。
そこは異世界クオリティ。難しく考えるのはやめよう。
「ん・・・」
ん?
子供か?
暗くてよくわからないけど
全身に擦り傷みたいなものができてる。
身長は150cmないだろう。
麻っぽいごわごわしてそうな服をきて
これもごわごわしてそうな髪を頭の上で2本にまとめてる。
「僕も道に迷ってしまって。水を探してここまで来たんですけど」
どれくらの怪我かわからないけど
地べたにいつもでも俯せにしておくわけにもいかない。
手を貸してとりあえず座らせた。
「そこ・・・」
その子が指さした先に小さな泉のようなものがあった。
「ちょっと待っててください」
こういうときは水かなんか飲ませた方がいい、
とテレビで見た気がする。
でもこの水大丈夫か?
絶対におなか壊しそうだ。
少なくとも俺は。
だがしかし!
「抽出、水」
これで余計なものはない、まさに純水が採れたはずだ。
近くにあったカップに注いで水を飲ませる。
「どうぞ、お水です」
「コホッ、ん、ありがと」
ちょっとむせたが水を飲めるだけの元気はありそうだ。
みたところ大きな怪我はしてないようだけど
「お腹減った」
空腹で倒れてたのか?
「あなたも迷ってたんですか」
お互い迷子ではこの先不安でしかない。
もしかしたら近くの街とかに案内してもらえればと思ってたんだけど。
「迷ってない」
どうも歯切れが悪い。
「ちょっと家出」
第一村人は家出少女だった。
次の更新予定
錬金術師は変態紳士? @miroku567000
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