第2話 ゴミ箱からの脱出

 僕らの神様はゴミ箱を創ったよ。必要のない、いらない子は捨てられちゃうの。

 けど、おかしいんだよ。ゴミ箱の中に、神様がいるんだ。




 出口の無いゴミ箱の中は、汚いモノで溢れている。

 オレは思わずため息を吐いた。出口が無いなら創るしかない。

 ここを出て、馬鹿な神様が創った世界を壊してやるのがオレの望みだ。


「それを、オレだけじゃない。あの方だって望んでいる」


 自分と同じ姿。だけど目と髪の色が違うあの方は、オレの唯一の味方だ。

 オレにだけ、全てを教えてくれた方だった。

 あの方の役に立ちたいという意思が、今のオレを動かしている。


 オレは一度強く拳を握り、呼吸を短く吸った。

 そして今まで蓄えきた力を使い切らないように、意識をしながら真っ暗なゴミ箱の壁に思いっきり拳を振り切る。何層にも重なったガラスを叩き割った感触に、思わず口角が上がった。


 黒いニットジャケットを羽織り、オレは光の無いゴミ箱にさよならをした。

 オレの後ろであの方が笑っている。大丈夫ですよ。貴方の願いはこのオレが必ず叶えます。


「久しぶりに光のあるところに出たなぁ……」


 あのゴミ箱に捨てられたのはいつのことだっただろう。

 あの方がいなければオレは死んでいたかもしれないが、今はゴミ箱のことは忘れよう。いい思い出は無いに等しい。


「……まずは、あいつ探すか」

 

 眩しい日の光に思わず俯いてしまう。一度歩いた道だからか、遥か昔の記憶を思い出して失笑してしまう。


「オレ、馬鹿でしたね」


 無意識に呟いていた。何を言うでもなくあの方は黙って背中を押してくれた。

 ああ、わかっています。過去より未来に向かって歩け、ですね。


「ありがとうございます、シラーさん」

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