第41話 達成感

 巨大ゴーレムが完全に沈黙してからも、戦いは終わらなかった


 崩れ落ちた残骸の周囲には、なおもモンスターが蠢いている

 数は減ったが、溢れが止まったとは言えない


 俺は再び前に出た


 魔力鎧を再展開し、走る


 脚に溜まった疲労を、魔力で無理やり押さえ込む


 人型のモンスターだ

 筋肉質な腕

 異様に長い爪

 そして赤く濁った目

 銃弾をものともせず、防衛線へ突進しようとしている


 「通さない」


 魔力弾を低出力で連射し、脚部を重点的に撃つ

 関節が砕け、体勢を崩したところへ接近


 拳を振り抜き、

 顎を砕く

 続けて魔力刃を首元へ

 抵抗は短く、すぐに力が抜けた


 振り返ると、別方向から粘体型が流れ込んできている

 魔力糸を地面すれすれに張り、まとめて絡め取り、引き寄せるように糸を収束させ、中心に高出力の魔力弾を叩き込んだ


 爆散


 周囲の地面が、魔力の余波で削れる


 自衛隊の隊員たちが、その背後で必死に防衛線を維持しているのが視界に入る

 銃声が途切れず、号令が飛び交う


 俺はその前に立ち、湧いてくるモンスターを片端から処理し続けた


 時間の感覚が曖昧になる


 何体倒したのか分からない

 ただ、倒し続ける


 次第に、異変に気づいた


 モンスターが少ない


 さっきまで、間断なく湧いていたモンスターが、ぱたりと姿を見せなくなった


 魔力の流れを探る


 ダンジョン方向から感じていた、あの不快な圧が薄れている


 だが、まだ油断はできない


 俺はその場に留まり、防御を固めたまま周囲を警戒する

 魔力障壁を維持し、索敵魔法を広範囲に展開



 不意に、ダンジョン入口の方が騒がしくなった


 複数の足音

 人の声


 視線を向けると、暗い入口から人影が現れた


 先頭には、自衛隊の部隊

 その後ろに、見覚えのあるパーティが続く


 白崎恒一を先頭に

 山﨑春香

 川端美香

 小笠原龍太郎


 主人公パーティだ


 そして、その中央


 両腕を拘束され、項垂れた男が一人、連行されている


 フード付きの装束

 首元には、見覚えのある紋章


 ダンジョン教


 「確保完了!」


 誰かが叫ぶ


 その瞬間、外で防衛に当たっていた自衛隊員や冒険者たちから、どっと歓声が上がった


 「終わったぞ!」


 「止まったんだ!」


 緊張が一気に解けたように、あちこちで座り込む人が出る

 誰かが泣き出し、誰かが笑っている


 俺はその様子を少し離れた場所から眺めながら、ようやく肩の力を抜いた


 魔力鎧を解除する

 身体が、ずしりと重く感じられる


 視線が合った

 白崎が、こちらに気づいたようだ

 だが、声をかけてくることはない

 ただこちらを見て、微笑んでいる



 俺の役目は、ここまでだ


 ダンジョン入口の周囲から、完全にモンスターの気配が消えていく


 溢れは、確実に止まった。


 空を見上げると、さっきまで重く垂れ込めていた空気が、嘘みたいに澄んでいた


 終わった


 胸の奥で、そう実感する


 俺は、

 ただやるべきことをやっただけだ


 それでも、今は少しだけこの賑やかさを味わっていたい







本作を読んでいただきありがとうございます!


 勢いで描き始めた作品なので話の矛盾点や誤字脱字などがあったら教えていただけると嬉しいです。


 そして少しでも面白いと思って頂けたら、作者の励みになりますので♡や⭐︎、感想などよろしくお願いいたします!!

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