【BL】銀髪の狐は、転生した俺を離さない〜神獣の毎晩布団に侵入同居生活〜

逢見彩依

プロローグ



 彼に触れた手から、温もりが消えていく。


 舞い散る白い桜の花弁が、彼の頬に落ちる。



「……泣くな、綾空あやそら


 彼の流した血で汚れた指先が、私の頬をなぞった。



「だめだ……っ、いくな!」


 必死で抱きしめても、最愛の人は光の粒となって、私の腕をすり抜けていく。


「お前がいない世界なんて……私には、守れない!」


「大丈夫だ……また、会える」


 ――待て。

 ――私を一人にするな。


「……泣くな……笑って、綾空……」

 

 抱きしめていたはずの彼の身体は、砂のように崩れ、宵の闇へと消えていく。


 壊れるほど強く抱きしめようとして――私はくうを掴んだ。

 

 ほとんど輪郭を失った彼の唇に、最期の口づけを落とす。

 

 その瞬間、私の『』は永遠に失われた。



 絶叫は咆哮となって、宵界よいのくにを震わせ、世界が崩壊していく音が聞こえる。


 神の座など、どうでもいい。

 魂を裂き、記憶を失い、堕落したとしても。

 

 私は、お前を追うだろう。

 何度生まれ変わっても、何度季節が巡っても、その温もりを見つけ出すまでは。


 ――待ってて、灯弥とうや

 ――必ず見つけるから。


 ――そしたら、二度と、お前を離さない。


 

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