祝の独り言
藤原 清蓮
僕の名は……
1月6日
今日は何の日? と調べてみると、まぁ色んな記念日が出て来る。
色の日、枕の日、ケーキの日……他にも色々。
その他にも色々の中に、『ホーリー・スリー・キングス・デー』というものがある。
日本人には馴染みのない記念日名だが、クリスマスを祝うのが好きなら知っておいた方が良かろう。
『ホーリー・スリー・キングス・デー』とは、『幼いイエスのもとに贈り物を持った3人の王が訪れたことを祝う日』なんだそうだ。それに合わせ、ツリーのオーナメントを片付ける日でもある。
そして僕の誕生日でもある。
宗教とか神とか、そういうものに信心深い訳じゃないが、僕がそういう日だと知ったのは、小学生の頃だ。
小学校の宿題で、自分の名前の由来を両親に聞いて来いというのがあった。それにより、僕は母親に自分の名前の由来を教えてもらったのだ。
「なんかぁ、全然良い名前が思いつかなくってぇ、あははは」
何が面白いのか分からないが、母親はよく話の合間に笑う。
「1月6日で調べたらぁ、ホーリー・スリー・キングス・デーってゆーのが見つかってぇ。超かっこよくない? ってなって、最初、ホーリー・スリー・キングスって付けようとしたんだけど、長いし、3人も居ないし超ウケるんだけどってなってぇ」
長いとかの問題ではない。だが、思い止まってもらえて良かった……。
「でぇ、ホーリーキングにしようとしたらぁ、親とか親戚にスッゲェ反対されてぇ」
両家の祖父母、そして親戚のおじさん、おばさん、止めてくれてありがとう。成長し大人になった今でも心から感謝する事案だ。
「そんでぇ、じゃあホーリーにしようってなってぇ。カタカナで申請しようとしたけど、なんかぁ、ウチらの苗字に合わないなってなってぇ、ミッチーが漢字調べてくれてぇ」
ミッチーとは、僕の父親の愛称である。正しくは
「それでぇ、色々調べてたら『祝福』の祝が『ほうり』って読むって分かってぇ、それにしたぁ。けど、結果、めっちゃいい名前じゃん?
そう言って、母親は「あははは、なんかウケるんだけどぉ」と笑った。
おい、息子の名前だぞ。ウケるんなら、そんな名前付けるんじゃない。
僕の名は、
お陰様で、苗字と合わさって大変めでてぇ……おっと口が……。めでたい名前ではあるのだが、親を反面教師故に、僕はチャラ男ではない。
前髪付近にある旋毛により、自然な黒髪七三分け。そして黒縁眼鏡の、いたって真面目な容姿をしている。
「名前、めちゃくちゃ縁起良さそうなのに、本人、めっちゃ堅物だよな」
なんて言われる事もあるが。
中学の三者面談で、あろう事か母親が大声で
「ホォーリィー!」なんて大声で呼んだもんだから……あの派手な容姿で。
「ホォーリィー? なんか外国人っぽい呼ばれ方してない?」
なんて女子に笑われ。
「ウォーリーに似てるし」
と男子が言い出し。
「ウォーリー、シマシマシャツ着てみてよ」
おい、それ探されちゃう系の男の事だろ!
いや、アイツも確かに眼鏡でゆるい七三分けの男だが! 確かに僕だって筋トレしても全然身にならずヒョロい体型だがっ!
この時、僕は心に誓った。
生涯、赤白ボーダーシャツは絶対に着ないと。
以来、僕のあだ名はウォーリーに決まった。何故か、高校に行っても大学に行っても、ウォーリーと呼ばれた。解せぬ……。
だが、そんな僕に転機が訪れた。
大学のサークルで知り合った女子学生から言われたのだ。
「祝いって書いてほうりかぁ。カッコイイし、素敵な名前! ご両親も本当に
そんな事、考えてもみなかった……。
彼女の言葉で、僕は自分の名前が少し、好きになった。
僕の名は、
めでたい名前だ。
そんな僕の嫁になってくれたのは、僕の名前を褒めてくれた大学時代の彼女。
彼女のおかげで、今の僕は笑顔が増え堅物ではなくなった。その証拠に――
「門松さんの笑顔見てると、凄くこう……名前通り良いことありそうって気持ちになれます!」
なんて言われている。
そんな彼女の名前は、現代ではちょっと古風だけど、僕にとってはとても可愛い、素敵な名前だ。
僕の可愛い妻の名は、
二人合わせて、祝福。
さらにめでたく、今では大好きな名前だ。
終
祝の独り言 藤原 清蓮 @seiren_fujiwara
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