幼馴染の君への贖罪

煮干しとたくあん

エピソード??? 幼馴染の君へ

「...」

まだ眠く、寝ていたい身体を嫌々起こし、鉛のように重い身体を蒼真そうまは引き剥がした。

勉強が嫌いなわけではなく、友達も少ないわけではなかった。しかし、次第に1年ほど前から陰口を言われるようになり最初の頃は気にしていなかったが、陰口だけでは済まず、シャーペンを隠されたり教科書が捨てられることがあった。最近では机がなかったりますます悪化していく一方であった。


「っ、げほ!....」


肩を震わせながら、思い出すたびにえづいてしまう。幸い何も口に入れてないからか戻ってくるものはなく胃酸で少し喉が熱く感じるくらいであった。


「...着替えるか」


何回かいじめのことを親に相談しようかと思うことはあった。しかし両親は仕事の都合で家にいることが少なかった。決して愛されてなかったわけではないむしろ愛されていた方だと思う。欲しいものも買ってもらえたし勉強だってさせてくれたので感謝している。そう、そのことが蒼真のことを苦しめた。自分のことで両親たちに迷惑をかけたくない、自分の力でなんとかしなくてはと思わせるようになってしまった。


「あれ...今日は誰もいないのか?...」


基本的に夜は家族みんな集まらないので朝は家族みんなで朝ごはんを食べるという約束がある。しかし今日は珍しくいないらしい。自分にとっては何にもお腹に入る気がしなかったので好都合であった。


「今日は早めに家出るか...」


鏡で笑顔の練習をし、気合をなんとか入れ家を出ると遠くからよく聞きなれた声が聞こえなので振り返ってみるとそこには幼馴染の2人がいた。


「いや〜今日も暑いな〜!」

「うん、そうだね。だいぶ..あついね」


幼馴染のれん千紗ちさ。蓮は小学校からの幼馴染であるが親のことを知らなかったり割と知らないことがある。本人曰く秘密主義の男はかっこいいらしい。それに対して千紗は親同士で仲がいいし、本人同士でも仲が良く幼稚園からずっと学校が一緒である。


「蓮は朝からそんな元気で大丈夫なのか?」

「いや〜今日は体育があるからこんな暑かったら体力がもたないな」

「私ハンディーファンあるから貸そうか?」

「いいのか!?ありがとう〜!」


蓮の元気さに少し励まされながらも気持ち悪さは治っていない。ここの空間は誰も自分のことをいじめないが学校に着いたら教科書やいろいろなものがなくなってたりするのだろう。そう思いながらこの時間が続くのを心の中でそっと祈る。


「そういえば千紗!今日までの課題はやってきた〜?」

「あー、そういえばそんなのもあったね」

「まさかやってないのか?」

「まあ、うん...」

「実は僕も...」

「千紗なんか蒼真と似てきたな」

「...そんなことはないよ、蒼真はすごいんだから」

「まあ、確かにな...たまに課題忘れちゃうドジだけどな」

「...褒められてるのはわからないけど...ありがとうな」


しばらく沈黙が続く、いつもなら和気あいあいと話すのに今日は何かいつと違う。蓮も元気であるがどこかぎこちないし、千紗はいつもより元気が少ない。


「蓮はさ、昨日の件...どう思う?」

「...俺は信じたくないよ何かの見間違いだと思う。」

「昨日の話って??」

「私はやっぱり蒼真のいじめが原因だと思う」

「っ!...」


いじめが原因?自分のせいで誰かに迷惑をかけてた?いつから?千紗は何を言っているんだ?ありとあらゆる考えが自分の脳に駆け巡る。昨日のことを思い出す、しかしなかなか思い出せず、思い当たることとしても、昨日も自分の机がなく教科書が破られていたことぐらいだ。さっきまでの治っていた気持ち悪さがまた少し悪化した気がする。


「俺だってなくなった原因がそれだと思うよけど誰かやったかなんて...」

「机がなかった話?気にしないでよ2人のことは大切だから迷惑かけたくないからさ...」

「私は蒼真に色々と助けられたから少しでも恩返しがしたい。」

「俺も同感だけど...どうすれば...」

「...まあ、このことはまた今度考えよっかもう学校近いし朝から暗かったらね!」

「そうだな...」

「ありがとう2人とも...」

「じゃあまた後でな」


そう蓮が言うと2人は各々自分へのクラスへと向かい自分もそうすることにした——










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