あがすけ

トリプル三脈

第1話

暗い部屋の中、綺麗に並べられた座布団。

朱色に光る行灯と、暗闇の中、俺は着物に着替えさせられる。

そして一番近くにある座布団の上に座らさせる。

隣にも座布団はあるが、空席だ。

そして、俺を囲むように座る身内達。

みんなニコニコと、嬉しそうな表情をしている。


すると、突然襖がスーっと音を立て開く。

そこには、白い綺麗な着物を着た女性が立っている。


身内達は、視線を女性に向ける。が、どこか空を見ているかのような感覚。

そして、周りは手を叩きパチパチと無機物に音を鳴らす。その音が耳の奥で反響し、何重にも重なっていつから手を叩き始めたか分からなくなる。

いつまでも、鳴り続ける無機物な音はまるで、今部屋に入ってきた人を祝うように終わらない。



そしてふと、祖母の声が頭をよぎる。


俺は、咄嗟に逃げ出そうとするが誰も追いかけては来ない。

逃げても無駄だ、と言いたいかのように。


誰かが事務的に喋る。

「あがすけ」


その間も、手を叩く音は止まらない。

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