輪廓
@7a2irI33
第1話
寝られない。そんなのいつもだ。毎日体感一時間あたりは寝付けず、目を閉じるたび、意識が浅瀬まで沈んでは戻ってくる。そんなのがここ数ヶ月ずっと続いている。昼間にどんなにウトウトしても我慢して夜眠ろうとする。だが夜に布団に潜ると目が冴えてしまう。今日は特にだ。二時間あたりは経ったであろうか。そんな日は紅茶を飲む。夏休みに長崎のグラバー園で買った自由亭の紅茶を飲もう。紅茶に合うお菓子も買ってしまおう。中学の頃の短パンに友達の親がくれた「IMAGINE9.11」と書かれたTシャツで家を出る。「ガチャ」家のドアを閉める音が夜の静寂を切り裂く。カスッカスッとサンダルの音を鳴らしながら目と鼻の先にあるコンビニに向かう。こんなに静かならばコツコツといい靴の音を鳴らしたいものだと考えているうちにコンビニに着く。そこで僕は目を疑うモノを見る。アタリがコンビニ前でアイスを食べている。そのぐるぐるで描かれた人型のモノがコンビニ前にいる。どうしたものかと考えていると人が通った、その人はそのアタリに目もくれずコンビニに入って行った。他人には見えておらず自分にしか見えていないみたいだ。そうわかった途端何故か勇気が湧いてきた。話しかけなければならないという使命感にも感じた。そこで僕はズンズンそのアタリに近づき「なんのアイス食べてるんですか?」と聞いてしまった。そしたらそのアタリはこちらに顔?を向け「見えるんだ...」と消え入る声で言った。話しかける言葉間違えたかなと考えている隙にアタリが話しかけてきた。「君に仕事ができた。それを私と一緒にやりに行こう」僕は反射的に「なんで?」と答えてしまった。そうするとアタリは表情の読めない顔でこう言った。「君の言いたいこともわかる。それも後々話そう。でも君にしかできないことなんだよ」僕に拒否権は無いみたいだ。そしたら続けてアタリは言った「学校やら家やら君にはあるだろう。それもなんとかするよ」するとアタリはお腹あたりを不気味な腕で掴み引きちぎった。「触りな」とだけアタリは言う。そのアタリがちぎった丸いモノは形を維持しているためかぐるぐるぐるぐる回っている。その動きに僕は少しの間見惚れていた。アタリが急かすように腕を突き出し、その丸いモノに触れてみた。するとそれは僕と同じ背格好のアタリになった。「それは君の代わりになってくれる。他人から見たらそいつは君と同じように見えるだろう。そして君は他人から見えなくなってしまった。今日はもう帰りなよ。明日の朝8時にここ集合ね」。いつの間にか僕は家の帰路に就いていた。そういえばお菓子も買えずじまいだった。部屋に戻ると僕の代わりは部屋の角で沈黙を守っている。その日は夢を見なかった
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