刹那の閃光

CだCへー

閃光の一幕

 閃光だ。


 目まぐるしく変わる地上からの、目を晦ます小刻みな発光と、耳を覆いたくなるような発砲音が、途切れなく死への不協和音で戦場を熱す。

 

 大衆が入り乱れる熱気からの一撃のせいか定かではないが、私の頬に鋭い痛みのあと、一拍置いて、赤い命が顎を伝っていた。


「近づき過ぎたわね、ゴーウィン! バック! バック!」


 私は手綱に力を込め、引き寄せる。


 私が騎乗している機械竜コンバットドラゴンのM39『ゴーウィン』は、喉にある竜息袋ドラゴタンクを鳴らすと、翼をはためかせ、高度を上げる。

 

 体内の臓器だけが抜かれる不快な浮遊感が襲う。本当にこのGはいつまでたっても慣れないわね。


『コール、コール。ミサトゴーウィン、ミサトゴーウィン。アンサー願います!』


 私のヘッドギアから、コールサインでオペレーターのお呼びがかかる。


「アンサー! こちらミサトゴーウィン! オーバー!」


『緊急招集です! ポイントZの防衛へ移行してください オーバー!』


「無理よ! ドラゴニック・ナパームも弾切れ! フォトニックブレードもエネルギー切れ! 今だって必死に!」


 の地上から流星群が、煙の尾を引きながら縦横無尽にこちらに向かって来るのが見えた。


 地対空ミサイル! このタイミングで!


 手綱を引きよせ、体を機械竜に密着させる。空気抵抗を減らし、自由落下の速度を最大限に利用し、ミサイルを振り切った。


「コンバット・センター応答せよ! こちらミサトゴーウィン! ポイントVで補給を願う! ポイントZはその後! オーバー!」


 私の歎願にコンバット・センターが答えることはなかった……


 中央都市が陥落したのだ


 私は、寡兵の共和国軍に敗戦した衝撃よりも、明日のわが身を案じた……


 いや、今は、生き延びよう。


 生きた先が私の楽園となるのだから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

刹那の閃光 CだCへー @dasyo117

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画