第6話

「閣下の愛するリスのようですか?」


「ああ、ジュエルはまるで、リス姫だな。ネズミ姫でも可愛いが。それにしても、どうして俺を見てすぐに逃げ出したんだ?やはりこの赤い目が原因だろうか……」


「え?あ、聞こえてなかったんですね。陛下が下がらせたんですよ。周りがうるさかったので」


「うるさい?どうしてだ?」


「いやですからその……閣下を見て笑顔を向けたでしょう?その時に歯が見えて、周りのものが笑ったからです。というか聞こえてなかったってどういうことですか?私はあなたの隣にいてばっちり聞こえてたんですが……」


「それは!あまりにも可愛くて、衝撃で!息ができなくなったんだ!時間が止まったみたいに、何も聞こえなくなって……」


「それは重症で……」


「待て,今下がらせたと言ったか?陛下が?許せない……!父親なら娘を護るべきじゃないのか!?抗議しにいくぞ!」


「不敬罪は御勘弁を。この国にとって大公閣下は戦力として必要ですが、私は簡単に首を刎ねられますから。何か方法を考えましょう。ジュエル姫を陛下から守るんですよ、あなたが」


「それは!いい考えだな!?それで、何がある?どうすれば、ジュエル姫を助けられる?」


「そうですね……こんなことはどうでしょう?」


アダムは何かを思いつくと、シルベスターに耳打ちした。


聞いたシルベスターはボンっと顔を赤くさせた。


「下賜で……そんな……」


「照れている場合ではないです。今だってジュエル姫は傷ついていますよ。本日の祝賀パーティーで、閣下は下賜を頂けるのですから、絶好のチャンスかと。姫を助けるためには手段を選ぶ暇はありません。」


「それもそうだな……わかった……姫は嫌がるかもしれないが、救うためだ、きっと分かってくれるはずだ……」


先ほどまで怒っていたのに今は、慌てふためいて、シルベスターは何度も顔を覆ってはあげてを繰り返した。


(はあ。よかった。これで人に興味をもたなかった友人が家庭をもてる。)


長年頭を悩ませていた″人の心をもたない悪魔″と呼ばれた友人の結婚問題が解決する。


大公閣下という身分で跡取りを取らないことはありえない。


下賜で王女や姫を娶りたいということはよくある要望だ。


そこに付け込んで、姫のことも五月蝿い外野から守れば一石二鳥だろう。


(これから忙しくなるぞー…)


アダムはそう思った。

忙しくなるというのに嬉しかった。

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♡死神大公の愛おしいネズミ姫♡ みずか🎼 @kinouemizuka

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