第2話


 


入学式。

校長先生の話や来賓の挨拶が続く中、胸の高鳴りはまだおさまらないでいた。




「新入生代表。1年B組、平野蒼。」



「はい。」




名前を呼ばれた彼は壇上に上がり、新入生代表挨拶をする。

体育館に響く穏やかな声は、真面目な彼の人柄が滲んでいた。





パチッ




壇上にいる彼と視線が合う。

一瞬の微笑みに、胸の奥がじんわり熱くなった。




好き…--




まだ伝えらない言葉が、何度も溢れてくる。

彼の瞳に写るのが、私だけだったらいいのに。





式が終わり、それぞれの教室へ移動する。

私たちは、理系クラスと文系クラスで分かれてしまった。




同じクラスになれなくても、これから3年間また同じ学校に通える。

それが、私にとっては幸せ。




「帰りは、図書室で待ってて。」と言われた朝の言葉や、入学式での微笑みを思い浮かべては、一つ一つの小さな胸のときめきに、自然と笑みがこぼれる。




「頑張れ、私。」




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