第十九章 決戦前夜
最終決戦の前夜。
創太は一人で、レジカウンターに立っていた。
いつもと同じ場所。十年間、立ち続けた場所。
「……」
窓の外には、二つの月が浮かんでいる。
静かな夜だった。
「店長」
声がして、振り返った。
リーナが立っていた。
「眠れないのか」
「ああ」
リーナは創太の隣に立った。
「……怖いか?」
「正直に言えば、怖い」
「私も」
二人は、並んで月を見上げた。
「明日——どうなるかな」
「わからない」
創太は正直に答えた。
「でも——やるしかない」
「ああ」
リーナは頷いた。
「店長」
「なんだ」
「……ありがとう」
「何が?」
「今まで——色々と」
リーナの声は、かすかに震えていた。
「お前に出会えて——よかった」
「……」
創太は、何と言っていいかわからなかった。
しばらくの沈黙の後——
「俺もだ」
「え?」
「お前に出会えて——よかった」
リーナは目を見開いた。
やがて、小さく笑った。
「……変な人」
「またか」
「褒め言葉だ」
二人は、同時に笑った。
その時、自動ドアが開いた。
「店長、俺たちも来た」
カイルが入ってきた。後ろには、ゴルド、エルナ、マルコ、そして——集落の仲間たちが続いている。
「みんな……」
「眠れないんだ。最後の夜だしな」
ゴルドが豪快に笑った。
「だったら、みんなで過ごそうと思ってな」
「……」
創太は、胸が熱くなるのを感じた。
「よし」
創太はカウンターから出た。
「じゃあ——最後の夜を、楽しもう」
その夜、店は賑やかだった。
食事を分け合い、話に花を咲かせ、笑い合った。
明日には、戦いが待っている。
死ぬかもしれない。
それでも——
今夜は、笑おう。
仲間と一緒に——
夜が明けるまで。
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