あとさき

みぃ

第1話





はからずも 僕は


慎ましやかな その振る舞いに


こころを奪われはじめていた


​それは 胸を揺さぶるほどの


情熱の炎は 滾らずとも


​凪いだ海に


一滴のインクを落としたような


​静かで 逆らえない


淡い浅い 侵食だった


​きみの言葉は いつも淡白で


きみの視線は いつだって僕を通り越す


​けれど その体温のなさにこそ


僕は 安らぎという名の


猛毒を見いだしてしまう


​あかあかと燃える太陽より


足元を照らす 微かな月明かりを


​僕は 望んでしまった


​それが 救いなのか


あるいは 終わりへの序曲なのか


​答えを知るには


もう あまりに深く


きみの影の中に 踏み込みすぎたようだ


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