第3話 勇者瞬殺?…神まで?!!
「国王がな、相談してきたのだ」
カップをソーサーに戻し言葉を紡ぐ魔王。
美しい所作。
可愛く美しい彼女の動作は、どこを切り取っても至上の絵画に劣らない。
そんな思いを脳から追い出し、ラギドはオウム返しのように口を開く。
「相談?…アルデミス王国の国王ですか?」
「うむ。どうやら“勇者”を召還したらしい」
飛び出すパワーワード。
この世界における勇者。
まさに唯一絶対者である魔王の天敵。
聖魔力を纏う、バランスブレーカーだ。
事の重大さ。
何より魔王を裏切る王国の暴挙。
恐らく気づいていないであろう魔王を見つめ、気持ちを入れ替える。
(…呆けている場合ではない…これは…危機だ)
「…そしてそれが強いのだが…とんでもなく馬鹿でな」
(くっ。…すでに魔王様は…勇者と?)
冷や汗がとめどなく流れる。
だが目の前の魔王、いつも通りだが…
「まあ、私は軽く撫でてやって滅ぼしたのだが……神がな」
「……はあっ?!!…か、軽く撫でて…?!……か、神?!!」
想定を超える魔王の言葉。
脳の処理が追い付かないラギド。
感情の置き所、すでに完全に見失ってしまっていた。
…被害者は――君だ。
※※※※※
この世界、誰が作ったか知らないが。
結構いい加減な設定で動いていた。
今回シャシャり出てきた神。
そいつがいきなりブチギレて
『この魔王め!!どうしてヒューマンの希望である我が勇者を滅ぼした?!こうなったらこの世界ごと滅ぼしてやるっ!!』
うん。
もちろん瞬殺してやった。
そして。
この星は存亡の危機に立たされてしまったんだ。
※※※※※
「っ!?か、神を?瞬殺?!!!」
「うむ。そしたらな、この世界あと数日で消えるらしいのだ」
「はいいいっっ?!!!!」
慌てふためくラギド。
こらこら。
君は高尚な真祖なんだから。
コホン。
まあ。
内容が内容なだけに仕方がないが……
とにかく落ち着け。
「まあそれは私も困るからな。とりあえずその権能を奪っておいたのだ。だからしばらくは問題ないのだが」
「………はは、は。……分かりました。もう驚きません。はあ…」
うーむ。
呆れられてしまったか?
コイツ以外だとまともに話も出来んのだが……
「という訳でな、どうやら私と契りを躱した『仮の神』が必要なのだ。なんでも私の体液を相手の男とかわす必要がある?実際には何のことやら」
時を置かぬとんでも発言の連発。
既にラギドは『夢であってくれ』――そういう想いに支配される。
(……ん?…た、体液を……交わす?)
「……誠に馬鹿らしい。唾液とかなのか?……まあ何はともあれ、こればっかりはあのアホな神の摂理、どうにも変える事が出来ん」
淡々と語られる信じがたい、そして発するのは信望する異常に素直な魔王。
つまり。
まごうことなく真実。
「はあ…」
「しかもな、私を愛さなければその力は効果を発揮しないのだ。そして私もその男を愛する必要がある。具体的に愛とはなんだ?抱き着けばよいのか?……良く判らん」
魔王様の愛。
結婚、体液を取り交わす――それは……?!!!
「っ!?……そ、それは…ヒューマンである必要があるのですか?我々魔族では……」
「うん?かまわぬぞ?……だが我の力を知っている魔族が、愛すると思うか?確かに我は超絶美少女だ。だが最強だぞ?――痴話げんかで殺してしまう」
「うーあー」
うん?
ラギド混乱しているな?
……まったく。
言葉が乱れているぞ?
「まあ、そういう訳だ。知恵を貸してくれ」
※※※※※
こうして前代未聞の最強魔王の婿探しが世界全土に公布された。
残された期限は約2年。
幾つもの種族が暮らすこの世界。
超絶美少女である魔王を求め、多くの混乱が巻き起こっていく。
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