恋愛初心者の最強魔王、愛を知る前に神を殺してしまいました
たらふくごん
第1話 魔王エリルギードはやらかした
我はエリルギード・ルデラ・イスガイヤ。
最強の魔王だ。
そう。
最強。
それもぶっちぎりの。
我はバグなのだろう。
だからこその超絶な力。
レベル?
数値?
そんなものは知らん。
ただ強い。
我の存在そのものが、この星の摂理を壊していた。
そして。
最悪の状況、我は自ら選び取っていた。
うん。
ほんと、軽い気持ちだった。
なんとかなる、今までもそうだったから…
だからこれは我の責任。
我は誓う。
――星を守る。
※※※※※
我が魔皇国イスガイヤ。
この世界の盟主であるとともに、弱き愚かな民たちを守る盾としての役割を担っていた。
この世界ノーズイルド。
学生でありながら難病を患い、命を落としてしまった“私”。
“宮下恵理”が転生した世界。
剣と魔法、そして魔物が生息する『ベタ』なファンタジー世界。
私は10年前――
病気で16歳の生涯を閉じ、この世界へ転生していた。
※※※※※
イスガイヤ魔皇国。
魔王城ムーンパレス王の間――
今我は難問を抱え一人頭を悩ませていた。
静寂が支配する崇高な場所。
豪華な椅子が、きしりと音を響かせる。
『ねえ』
「………」
『ねえってば、エリ!!』
「……煩いっ!今考え事をしているっ!!貴様だってわかっているだろうが?」
そう、今“私”は一人だ。
実は私、“転生”というよりは“憑依”という状態に近かったようだ。
私の頭の中で話しかけてくるコイツ。
元魔王だ。
『むうー、つまんない。ねえ、ぱあーっとヒューマン殺そうよ。ほら、この前覚えた究極魔法?あれでも試してさ』
「却下」
『むううっ、エリのけち。ぶーぶー、つーまーんーなーい―!!』
「うるさい、だまれっ」
私はこめかみに指をあて、自身の脳内に魔力を流す。
途端に消えるノイズのような甲高い声。
改めて私――いや、我は思考を巡らせた。
※※※※※
まあこの世界。
私が憑依するまでは魔王を名乗るコイツと威張り散らかしてた四天王とかいう奴等が、率先して弱いヒューマンをいじめていた。
大した意味もなく。
おかげで“神”とか言うふざけた奴に目を付けられ…
要らぬ苦労を引き込んでいた。
あほかコイツら。
誰がうまい飯の元を作るのか全然理解していない。
何よりトラブルをわざわざ引き寄せるその行為。
私の拙い倫理観。
それを照らし合わせても、感想は全く変わらない事実。
そして一番の原因――やることもなくコイツら暇だった。
私たちは魔族。
ヒューマンとは確かに違う摂理の生物だ。
だけど食事は必須。
しかも魔族は労働を嫌う。
――働かざるもの食うべからず。
その信条の私は、憑依してすぐに“アホな魔族”を一人残らず叩き潰した。
物理的に。
数えきれないほどいっぱい。
一応上位種族である魔族。
魂を滅ぼさない限りは復活する。
なので私は遠慮なくぶちのめした。
まさに阿鼻叫喚。
まあ。
なぜかあったグロ耐性。
なので多くの魔族は木っ端みじんになっていた。
ハハハ。
そして出来上がった絶対的封建主義。
魂に刷り込んだ絶対的な恐怖。
誰も私には逆らえない。
当然だけど、神とか言うあのジジイとも一応の話はつけておきました。
方法は…コホン。
何はともあれ。
そうはいっても長い年月働くことを知らない種族だ。
だから私はヒューマンのボスである、この世界最大の国家の王と会談を行った。
そして結んだ契約。
ヒューマンの脅威である魔物の退治。
それから未開の地の調査などetc。
その対価として食料の安定供給を獲得していた。
およそ10年前――
“私”が“我”となってすぐの話だ。
※※※※※
まとまる思考。
そして決まる覚悟。
我は軽く手を叩く。
「誰かあるか」
「はっ」
我は偉い。
絶対者。
…実は口調はわざとなんだよね。
舐められるわけにはいかないから。
でもね。
元は病弱で、世間知らずな16歳。
実は内心、結構ビビっています。
いい加減“私”を補佐する人材が欲しいのよ!!
出来れば麗しい男性。
――そう、私は腐っている。
死んだ時――私のベッドの周りにはかなりのBL本が山と積まれていた。
純真で美しい無垢な男性同士……
手を繋いでうっとりと見つめ合う……
ああ、なんて尊い!!(鼻血が…)
妄想がはかどる!!
…コホン。
幸いなことにこの世界、男女問わず美形が多い。
私の夢は美しい男たちに囲まれる逆ハーレム!!
まあ、私は絡まないけどね!!
見るだけなの。
うん。
話がそれた。
我は自身の魔力を揺蕩らせ、目の前の空間に視線を向ける。
ゆらりと魔力が沸き立つ。
やがて黒い影は実体を伴い、一人の男性が跪いた。
(さて。…起きてしまった問題。この世界の存亡――解決策を検討するとしよう)
我は目を細め。
絶対の忠誠を尽くすその男性。
静かに見つめていた。
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