私を女でかたどって。

ユウマ

第1話

「先生。私はマシュマロで世間はチョコレートなんです。」

ある女子高校生が開口一番そんなことを言ってきた。

「ど、どうしてそんな事思っているんだ?」

「だって佐藤先生、私のことを世間はコーティングしてくるんです。」

…何を言っているのかが全く分からない。彼女は大人になる過程をそう思っているのだろう。

「まぁ、大人になる上で大事な事だから仕方が無いさ。君はこれからその時その時で対応しなきゃいけない

でも悪い事でも何でもないんだ。だからそんなに考え込むな。」

教師になる前に習った言葉を言う。

みな同じやり口で生徒を宥めたり、活を入れたりしていた必勝法。

ただ、並べる。 教師なんだから正しい綺麗事を。 ただ。

彼女は聞いているのか曖昧な感じの返事をして、私に言った。

「コーティングされたマシュマロは中で腐り落ちていくだけなんですか?」

彼女は足早に教室を出て行った。 いつの間にか掃除はすっかり終わっていた。



ー佐藤先生は何も分かってない。

男だから。きっと公務員で男の人で、人気者だから。

綺麗事だけ並べてなんになるんだ。女の世界を、先生は知らない。

ぎゅうぎゅう詰めの電車に乗る。きっと今日も、くる。

サワッ

誰かが移動したかと思うくらいの、故意。

サワッスッ。

気づかれないと思われる。だからもっと深くまで。

ー触ってくる。

ねぇ。分かる?先生。ブスでも陰キャでも体が良けりゃこんなだよ?

泣いてしまいたい。このまま変態を殺したい。

そんな事もお構いなしにどんどん奥深く、ナカに入り込む。

抗えなくて、少し揺れた私をここがいいのかとでも言わんばかりの増す激しさ。

長い地獄が終わって電車を降りる。

明日もきっと地獄なんだろうな。なんて、泣きそうな声で呟いた。

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