社畜童貞はぽっちゃり巨乳アラサー女子を拾う

白鷺雨月

第1話 社畜は深夜にぽっちゃり巨乳アラサー女子を拾う

 駅の改札を出た時には、夜の11時をまわっていた。

 僕は駅前の24時間営業のスーパーで割り引きシールの貼られた唐揚げ弁当といちごジャムパンを購入した。

 そんなに耳にピアスをつけることができるのだという女性店員があざーしたと見送ってくれる。

 この日も帰宅時間がこんなに遅くになってしまった。

 僕はいわゆる社畜である。

 大学を出て、約一年と半年が過ぎた。

 ようやく仕事には慣れたが、連日の残業続きで僕は正直疲労しきっていた。

 頭の中は早く返ってくるご飯を食べて、寝ることだけを考えていた。

 鉛のように重い足を引きずるようにして、歩いるていると視界に黒い物体が目にはいる。

 場所は児童公園だ。

 滑り台とブランコ、それにベンチが一つあるだけの小さな公園だ。

 昼間は子どもたちでそれなりに賑わうこの児童公園も子の時代に訪れる人はいない。

 その児童公園のベンチに黒いダウンジャケットを着た女性が一人座っていた。

 ぼさぼさ頭に黒ぶち眼鏡をかけている。足元はサンダルでこの年末にそれは寒そうであった。

 僕が見ているとその黒ダウンジャケットの女性と目があってしまった。丸い顔のぽっちゃり女子であった。

 丸顔ぽっちゃり女子は僕のレジ袋を凝視している。

 そしてにやりと笑う。

 すたすたっと思いもよらないスピードで僕の元に駆け寄ってきた。

「ねえ、お兄さん」

 声をかけられた。

 お兄さんとは僕のことだろうか。

 僕にはこんな妹はいないんだけど。

「お弁当とそのパンってもしかして一緒に食べないよね」

 丸顔ぽっちゃり女子は僕の顔を見ずに、レジ袋を凝視したまま話を続ける。

 このいちごジャムパンは明日の朝ごはん代わりだ。

 たしかに唐揚げ弁当と一緒に食べはしない。

「もしよかったら私にそのジャムパンめぐんでくれないかしら」

 ぺろりと丸顔ぽっちゃり女子は舌なめずりをする。

「えっなんで」

 なんで初対面の人間に大事な食料をやらなければいけないのだ。

 仮にこれがJK、女子高生なら一考の価値はある。

 だが、目の前の丸顔ぽっちゃり女子は女子高生には見えない。

「その……私三日何も食べてないのよね。お腹と背中がグッ着く寸前なのよ。しかも所持金はコレだけなの」

 丸顔ぽっちゃり女子は僕に手のひらを見せる。そこには十円玉と一円玉が一つずつ。

 いい大人の所持金が11円とはどういうことだ。

 最近の小学生でも、もう少しお金をもっている。

「私、先月まで契約社員で働いていたんだけどけあきられちゃって。寮も追い出されてホームレス寸前なのよね」

 いきなりぽっちゃり女子は自分語りを始める。

 まあ可哀想だとは思うけど、僕には関係ないことだ。それにホームレス寸前というより、もうホームレスになっているではないか。

「それでよかったらそのパンくれないかなって」

 僕には何がよかったらなのかさっぱりわからない。

「いや、ちょっと無理」

 僕はそう言い、立ち去ろうとする。

「いや、ちょっと待って」

 僕の言葉と八割がた同じことを言い、ぽっちゃり女子は僕の腕に抱きついた。

 ふんわりとやわらかい感触に腕が包まれる。

 これはもしかし、おっぱいか。

 そうか。

 このぽっちゃり女子はさては巨乳だな。

 巨乳だと知ったら、話が変わってくる。

 僕の脳内は忙しく計算する。

 周囲の状況を確認する。

 周囲には誰もいない。

 美人局ではないようだ。

 僕のような社畜をハニートラップにかけても仕方がない。

 それにこのぽっちゃり女子はハニーというより酸っぱ匂いがする。

 三日間何も食べていないと言っていたな。

 ということはお風呂にも三日入っていないというこたか。

 ちらりと見るぼさぼさの黒髪を見るとねっとりと脂っぽい。


 僕は約十秒、脳内で計算と打算を繰り返す。

 こんなエロ漫画みたいなシュチュエーションは人生で二度とないだろう。

「僕は矢代亮一やしろりょういち。あんたは?」

 腕に抱きつく彼女にそう尋ねる。

 馬鹿な僕は腕に感じる肉の柔らかさに警戒Levelを下げていた。

「あっ私は穂津田ほつだ桂香けいかです」

 穂津田桂香は僕に頭をぺこりと下げた。

 頭皮からもなんだか酸っぱい匂いがする。

「良かったら僕の家に来ませんか?」

 僕は提案してみる。

 脳内はすでにエロ漫画の展開があれよこれよと繰り広げられている。

 丸顔ぽっちゃり女子の眼鏡の奥は、けっこうぱっちりで合格点をだしていいほどには可愛い。


 まさかこんなエロ漫画やエロゲーみたいな展開で童貞を卒業できるとは思ってもいなかった。

 僕はにやけるのを我慢する。

「うーん、どうしようかな」

 ここに来て穂津田桂香は迷いだした。

 いや、このパターンは家にくるパターンだろう。

「お腹空いてるんでしょう。それに家もないんでしょう」

 僕は揺さぶりをかける。

 穂津田桂香がさしせまった状況にあるのは間違いない。

「たしかにお腹は空いてるけど……」

 穂津田桂香はかんがえこむ。

 僕の腕から抱きついて離れないのは、迷いとみてとっていいだろう。

 それにしても穂津田桂香の体臭はなかなか酸っぱいな。

 女子って良い匂いがするんじゃなかったか。

「分かったわ。私も三十歳だし、あなたの家にいくわ」

 くっまさか穂津田桂香はアラサーだったのか。

 思ったより年上じゃないか。

 一瞬腕を振りほどこうとしたが、二つの肉の柔らかさが僕の意思を遠ざけた。

「そう、じゃあついてきてよ」

 こうして僕は深夜に丸顔ぽっちゃり巨乳アラサー女子を拾った。

「」



 

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