第一章

私は、世間一般で言われる「天才」と呼ばれる者だと思う。

家の壁には、もう何も掛けられない。輝かしいトロフィーも、数えきれないほどある。

いずれ、思考を挟まずとも高値で取引される絵を描くのだろう。

そのうえ、他の天才とは違い、私には相棒もいる。


私は決して友達の多い方ではなかった。

最も友達ができるはずの学生時代。

「僕も一緒に!」などとは言えず、馴染めるはずもなく、ただ一人で過ごしていた。

そんな自分が嫌いだった。


それでも、小中高と不登校にはならなかった。

今思えば、少しでも普通に近づきたかったのだろう。


そんな私に相棒ができたのは、美術大学に入学し、絵を描き始めてしばらくしてからだった。

カフェで偶然、隣の席に座った彼。

見た目は同い年くらいで、絵を描いていた。

なぜだろうか。そのとき、私は声をかけていた。

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