AIと創作について、審査する側から思うこと

猫戸針子

AIと創作について、審査する側から思うこと

はじめに。


私は着せ替えアプリ「ピュアニスタ」という小説には縁の無さそうな場で有志と文学遊びをしています。

その前提だけ最初にお伝えさせて下さい。


このアプリで私は4年ほど、創作コンテストの主催と審査を続けています。

もちろん私自身も、コンテストに参加し書かせてもらってます。


ただ楽しいから書く。そんな純粋な気持ちもありますが、ピュアニスタのコンテストにはアイテムが賞になる関係で、それを目標にすることもあります。


開催コンテストの難易度や規模にもよりますが、入賞者にはそれなりの価値のあるアイテムが出ます。場合によっては数万円相当になることもあります。

これを主催者は最大3賞出し、コンテストの管理、審査、入賞者の評価文を全てとひとりでこなします。


今回の主題は主催者側の苦労話ではないので、これはこれからの話の目安として「こんな世界もあるんだな~」と流してください。


さて、昨今Web小説界隈でAI作品の賛否が話題になっていますね。私も日本では手に入らない情報取得などで、補助的に利用しているので欠かせないツールになってきました。


問題は『AIが書いた文章を自分が書いたものとして出すケース』ですよね。

コンテストなどのイベントに、こういった方々もいらっしゃると小耳に挟みました。


それは、ピュアニスタの物書き界隈でも例外ではありません。

私のコンテストは、アプリ内で手に入れば嬉しいアイテムを出しています。それは私の中では、参加して下さるお礼の気持ちでなのですが、賞品稼ぎが目的で来られる方もいらっしゃいます。

もちろん目的がどうであれ、参加し素晴らしい作品を見せて下さるなら私は良いと考えています。それが執筆の原動力になったり、楽しんでくれるなら。


ただ、良い作品を出したいあまり、ご自身の持ち味を失ってしまう方々も近ごろは増えてきました。つまり、AI文章を使い過ぎる方ですね。

前の方が味があって好きだった。そんなことは審査員の身では言えませんが、初めて参加された方でもAIに書かせた文章は分かります。

最も、しっかりと設計し緻密にAIに指示を出して作られた文章は恐らく見分けが付きません。しかし、それは普通に書くよりも時間もかかり、趣向を凝らす物であることは、地図の生成を試みた私がよく知っています。


AIにキャラと世界観のみを投げ入れて出来上がる作品。とても上手で読みやすく情緒豊かな作品になります。ですが、綺麗すぎて皆似通ります。サラッと読めますが、残念ながらそれだけです。胸を打たれる作品に出会ったことはありません。


それが見えてしまうと、なんと言いますか、せっかく物語遊びをしている場で興ざめしてしまう。


AIを使用するのは構いません。上手く使いこなして自分のものにできているなら素晴らしいと思います。そこに至るまでの苦労も知っていますから。

でも、使い方は気を付けた方が良いのでは?と最近常々思います。綺麗な文を書きたい気持ちは分かります。だけど、私はそこを見ていない。


上手な文じゃなく、何を伝えたいのか。

その人の持ち味は何か、テーマに沿うためにどんな工夫をしているか。

そして、魅了されるか。


文体にも個性は出ます。テンプレ的に完成された文章でなくても良い。私はその人の個性を見たい。


曲がりなりにも物語の審査を4年してきた私のこだわりでもあります。

見続け評価する立場にいたからこそ、変化には敏感になります。


そこにあなたはいるのか。

あなたが書きたい本当の物語なのか。


AIに執筆を委ねることの是非を私は語っておりません。それは正直どうでもいいのです。なぜなら、書き手は誰かの影響を受けどこかで引用している物だと思っているからです。そうして自分のものにしてゆくのだ、と私は思います。


でも、安易な設定で気楽に作られたAI文章は、正直つまらないと感じます。私程度がそうなのですから、Web小説サイトの審査員はどうでしょうか?


道具は上手く使って自分に馴染ませて初めて真価を発揮してくれます。書くのが好きなら、自分の意志を入れて欲しい。


プロでもなんでもない、単なる物語が好きなだけの私は、そう思います。

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