第4話

ノヴァ・ベースの中央コントロールルームは、広大なホログラムディスプレイに囲まれていた。俺は中央のコマンドチェアに座り、目の前に広がる巨大な宇宙ステーションの設計図を眺めている。


転生して四日目。初戦闘を終え、仲間たちとの絆も少しずつ深まってきた。昨夜のクリームパスタは最高だったし、シルヴィアが指摘した異常信号の件も、ひとまず保留にしている。まずは足場を固めないと、何も始まらない。


「マスター、ギルド本部の拡張許可が銀河連邦から下りました」

シルヴィアが隣でタブレットを操作しながら報告した。


俺は頷いた。

「よし、早速始めよう。〈エターナル・ノヴァ〉をドックに固定して、全資源を本部構築に回す」


リリィが目を輝かせて飛びついてきた。

「やったー! ようやく本格的なカスタマイズができます! ドック拡張、居住区増設、訓練施設、さらには大規模厨房も作っちゃいましょう!」


ガストンが厨房から顔を出した。

「おう! 厨房は俺の領域だぜ。最新の分子調理器に、無重力オーブン、異星食材保管庫も完備で頼むぜ!」


こうして、ギルド本部〈ノヴァ・ベース〉の構築プロジェクトが本格的にスタートした。


まずはステーションのコア部分を強化。俺のチートスキル「ギルドマスター特権」で、通常なら数ヶ月かかる工事が数時間で完了する。リリィが設計図をホログラムで投影し、俺が承認するたびにナノマシンが素材を組み上げていく。


「ここに防衛砲台を三基追加。敵艦接近時に自動迎撃できるように」

俺の指示に、リリィが即座に修正を加える。


「了解! さらにシールドジェネレーターを二重化して、惑星級の攻撃にも耐えられるようにします!」


シルヴィアは冷静にリソース配分を計算。

「現在の戦利品と名声値で、拡張率は150%まで可能です。居住区は最大五十人収容可能に設定しましょう」


構築は順調に進んだ。ドックエリアは〈エターナル・ノヴァ〉だけでなく、中型艦三隻を同時に収容できるサイズに拡大。訓練シミュレーター室も完備し、俺たちは早速テストしてみることにした。


シミュレーター室に入ると、空間が一瞬で宇宙戦場に変わった。敵艦十隻が周囲を取り囲む仮想戦闘だ。


「マスター、難易度を上げますか?」

シルヴィアが操作パネルを触る。


「もちろん。最高難易度で頼む」


戦闘が始まった。俺は艦長席に座り、神級戦術眼をフル稼働させる。敵の動きが完全に読める。旗艦らしき大型艦が後方から主砲をチャージしているのがわかる。


「副砲で左翼三隻を牽制。主砲は敵旗艦のブリッジを狙え」


仮想の〈エターナル・ノヴァ〉が動き、プラズマの奔流を放つ。敵艦が次々と爆散していく。


リリィが興奮して叫ぶ。

「すごい! マスターの指揮、完璧すぎます!」


ガストンもシミュレーターに参加して、艦内支援役。

「マスター、エネルギー残量は十分だぜ! 思う存分ぶっ放せ!」


十分で敵艦全滅。スコアはパーフェクトだった。


「これなら、本物の海賊団が来ても余裕だな」


訓練を終え、次は居住区の構築へ。俺はリビングエリアに大きなラウンジを設計した。中央に円形のテーブル、周囲にソファ、そして壁一面が展望窓。宇宙の星々を眺めながらくつろげる空間だ。


ガストンが早速新厨房で試作品を作り始めた。今日のメニューは、戦利品の新食材「スターダスト・ラム」のロースト。


厨房に集まった俺たちは、ガストンの手際に見とれた。ラム肉を宇宙ハーブと岩塩でマリネし、低温でじっくり焼き上げる。表面はカリッと香ばしく、中はジューシーなロゼ色。


焼き上がったローストをスライスすると、肉汁が溢れ出し、部屋中にスパイシーで甘美な香りが広がる。


「さあ、マスター! まずは一口!」


俺はフォークで一切れ口に運んだ。


……これは、反則級のうまさだ。


柔らかな肉繊維がほろりと崩れ、濃厚なラムの風味が舌全体を包む。ハーブの爽やかなアクセントと、付け合わせのロースト野菜の甘みが絶妙に絡み合う。ソースは赤ワインとベリーを煮詰めたもので、酸味が肉の脂をさっぱりと引き立てる。


シルヴィアが珍しく目を細めた。

「素晴らしい……これほどの味わいは、軍艦時代にも経験がありません」


リリィはもう三切れ目を頬張っている。

「ガストンさん、神です……!」


ガストンが得意げに胸を張る。

「当たり前だろ! 新厨房の性能がフルに活きてるぜ!」


ラウンジで星を見ながらのディナーは、最高の時間だった。この本部が、俺たちの“家”になっていく実感が湧いてくる。


だが、食事が終わりに近づいた頃、シルヴィアが突然立ち上がった。


「マスター、緊急通信です。近隣宙域で中規模海賊団の動きを確認。どうやら、私たちの名声が広がり、挑戦状を叩きつけてきたようです」


俺はナプキンで口を拭き、ゆっくりと立ち上がった。


「ふむ。ちょうど本部も一段落したところだ。新しい防衛システムのテストも兼ねて、迎え撃とう」


リリィが拳を握る。

「やりますよ、マスター! 新ドックから出撃準備、完璧です!」


ガストンが包丁を振りながら笑った。

「勝利の後は、また豪華な宴だぜ!」


俺は仲間たちを見て、頷いた。


この本部が完成した今、俺たちの冒険は本格的に始まる。


そして、その先に待ち受けるもの——シルヴィアが言っていた異常信号の正体も、そろそろ明らかになる頃かもしれない。


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