VRMMO世界に転生したら最強の傭兵ギルドマスターになっていたので、仲間たちと一緒に宇宙海賊を狩りながら豪華飯テロを楽しむ日常

kuni

第1話

俺は目を覚ますと、そこは真っ白な空間だった。


……いや、違う。目を開けたわけじゃない。意識が、ふわりと浮かぶような感覚で広がっていく。体がない。痛みもない。ただ、ぼんやりとした視界に、無数の光の粒が漂っている。


最後に覚えているのは、会社からの帰り道。雨が降っていた。信号待ちでスマホを見ていて、横から突っ込んできたトラック。ブレーキ音と、衝撃。そして、暗転。


ああ、死んだんだな。


そう思った瞬間、頭の中に声が響いた。機械的で、感情のない、システム音のような声。


『プレイヤー認証完了。転生処理を開始します。目的地:ギャラクティック・フロンティア・オンライン』


転生? VRMMO?


俺は生前、ソシャゲやネット小説が好きだった。転生系は読み飽きるほど読んだ。でも、まさか自分がその当事者になるとは。


視界が急に明るくなった。光の粒が集まり、俺の体を形作っていく。まず足から、腰、胸、腕、そして頭。最後に、視界がはっきりする。


俺は宇宙に浮かんでいた。


周囲は漆黒の宇宙空間。無数の星が輝き、遠くに青い地球によく似た惑星が見える。だが、俺の足元には何もない。ただ、銀色の光が体を包んでいる。


ステータスウィンドウが、視界の端にぽっかりと浮かんだ。


【プレイヤー名:レオン(自動生成)】

【クラス:ギルドマスター(最上位ユニーク)】

【所属ギルド:スターダスト・マーセナリーズ(マスター権限保有)】

【所持艦船:無敵級旗艦〈エターナル・ノヴァ〉】

【スキル:無限スキルポイント、艦船完全支配、神級戦術眼……他多数】


……は?


最強装備どころか、最強ポジションじゃないか。


俺は思わず苦笑した。転生したらチート持ち、というのは定番だけど、ここまで露骨だと逆に笑える。


すると、すぐ横の空間が歪み、三つの人影が現れた。


最初に現れたのは、銀髪の美しい女性。軍服のような黒いジャケットを着て、腰にレーザーソードを下げている。鋭い瞳が俺をまっすぐ見つめる。


「お目覚めですね、マスター。副官のシルヴィアです。以後お見知りおきを」


次に現れたのは、がっしりとした体格の男性。料理人風のエプロンをしていて、手には巨大な包丁を持っている。笑顔が温かい。


「料理長のガストンだよ! マスターの胃袋、しっかり支えるぜ!」


最後に現れたのは、小柄な少女。メカニックの作業服を着て、頭にゴーグルをかけている。少し照れくさそうに手を振る。


「メ、メーカー担当のリリィです……艦船の整備は任せてください!」


三人とも、明らかにAIだ。でも、表情も声も、まるで本物の人間のように豊かだ。


俺は呆然としながら、シルヴィアに尋ねた。


「……ここは、本当にゲーム世界なのか?」


シルヴィアは静かに頷いた。


「はい。ギャラクティック・フロンティア・オンライン。銀河規模のVRMMOです。マスターは転生者として、この世界に迎え入れられました。ギルド〈スターダスト・マーセナリーズ〉のマスターとして、自由に生きてください」


自由に、か。


俺はゆっくりと息を吐いた。死んだはずの俺に、第二の人生が与えられた。しかも、最強の立場で。


だったら、楽しく生きよう。


「よし、まずはギルド本部に行こう。みんな、案内頼む」


「了解!」三人が声を揃えた。


空間が再び歪み、俺たちは巨大な宇宙ステーションへと転移した。


そこは、俺のギルドの本部〈ノヴァ・ベース〉だった。広大なドックに、無敵級旗艦〈エターナル・ノヴァ〉が静かに停泊している。流線型の美しい艦体は、全長数キロはあるだろう。主砲だけで惑星を一撃で消滅させそうな威圧感だ。


リリィが目を輝かせて説明を始めた。


「マスター! この艦、チート級ですよ! 無限エネルギー炉搭載で、シールドはどんな攻撃も無効化。武装は最新のプラズマキャノンに、量子魚雷、さらにはワープドライブまで完備!」


ガストンが笑いながら肩を叩いてきた。


「それに、厨房も最高級だぜ。どんな食材でも最高の味に仕上げられる」


シルヴィアは冷静に補足する。


「現在、ギルドメンバーは私たち三人だけですが、マスターの指揮次第で銀河最強の傭兵集団に育てられます。まずは、近隣の宇宙海賊を掃討するミッションから始めましょう」


俺は頷いた。


「そうだな。まずはこの世界を知るためにも、軽く海賊狩りでもするか」


その時、ステータスウィンドウに新しい通知が浮かんだ。


【初回ログイン特典:異星食材セットをプレゼント】

【内容:ネビュラ・ビーフ、スターダスト・シーフード、ギャラクシー・フルーツ他】


ガストンがにやりと笑った。


「マスター、勝利の後には盛大な宴をやりましょうぜ」


俺は思わず笑った。


死んだはずの俺が、こんな豪華なスタートを切れるなんて。


これが俺の新しい日常か。


宇宙海賊を狩りながら、仲間と豪華な飯を食う。


悪くない。いや、最高だ。


〈エターナル・ノヴァ〉のブリッジに立ち、俺は初めての命令を下した。


「出撃準備。目標は近隣の小型海賊団。……そして、帰ったらガストンの料理を堪能するぞ」


「了解、マスター!」


三人の声が響き、旗艦が静かに動き始めた。


俺の冒険が、今始まる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る