拡散力(シェア)が物理ダメージに変換される異世界で、炎上商法による一撃必殺を極めようと思う
たらこの子
第0話異世界にログインしました
気がつくと、俺は灰色の空の下にいた。
つい数分前まで、俺は現代日本のオフィスで広告運用データを見つめていたはずだ。過労死か、あるいは事故か。記憶は曖昧だが、ここが元の世界ではないことだけは、漂う空気の重さで理解できた。
「……なんだ、これ」
俺の右手に握られていたのは、スマホではなかった。
鈍く銀色に光る、鏡のように磨かれた金属の板。画面に触れると、半透明の文字が空中に浮かび上がる。
魔導端末。所有者ハルト。
固有スキル、熱狂の共有。
現在のフォロワー、0人。
「魔導端末? スキル? まさか異世界転生ってやつか」
呆然とする俺の耳に、遠くから悲鳴と爆発音が聞こえてきた。
丘の下を見下ろすと、そこには中世のような鎧を纏った騎士たちが、巨大な死神のような怪物に蹂躙されている光景があった。
「助けてくれ! 化け物だ、首狩り公爵が王都近くに現れるなんて!」
騎士たちが次々と倒されていく。俺の足は震えていた。逃げなきゃいけない。だが、手に持った端末が激しく振動し、脳内に無機質な声が響く。
警告。このままでは三分以内にあなたの生存確率はゼロになります。生存の唯一の手段は、世界にあなたの存在を拡散することです。
「拡散しろ? 誰にだよ、フォロワーなんて一人もいないのに!」
現在、この世界の住民は魔導ネットワークを通じて娯楽に飢えています。彼らの注目を浴び、その熱狂を魔力に変換してください。チャンネルを開設しますか?
選択肢なんてなかった。死神がこちらを向き、巨大な鎌を振り上げた。
俺は震える指で、空中に出現したイエスのボタンをタップした。
チャンネル開設完了。
配信タイトル、異世界に転生した初日に死神に襲われてみた。
配信を開始しますか?
「ああ、クソ。やってやるよ! どうせ死ぬなら、バズってから死んでやる!」
俺が配信開始ボタンを押した瞬間。
俺の体を眩い光が包み込み、視界の端に視聴者数一という数字が灯った。
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すみませんタイトルを忘れていました
第0話のタイトルは 異世界にログインしました です。
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