登場人物紹介

登場人物紹介


『夜勤明けの家に、犬と猫と、小さな奇跡』


朝倉 恒一(あさくら こういち)


28歳/看護師/夫


夜勤明けでも、犬のリードを握ると足取りが軽くなる男。

命の現場では冷静で的確だが、自分の感情を言葉にするのは少し苦手。

犬と走る時間は、救えなかった夜を体から振り落とすための儀式でもある。


妻を愛している。

ただ、「どう寄り添えばいいか」が分からないまま、

外へ、外へと気持ちを逃がしてきた。


口数は少ないが、

一度決めたことは曲げない、誠実な背中を持つ。


朝倉 美咲(あさくら みさき)


28歳/看護師/妻


夜は猫と一緒に眠る。

静かな部屋で、やっと自分の呼吸を取り戻す人。

患者の痛みには敏感なのに、自分の寂しさには鈍感なふりをする癖がある。


言葉にする前に、我慢してしまう。

「分かってくれるはず」と期待し、

期待が裏切られるたびに、少しずつ心を閉じてきた。


優しさと孤独が、同じ深さで共存している女性。


ハル


犬の精霊/陽の気配


風と土の匂いをまとった存在。

前へ進む力、外の世界へ引っ張る衝動の象徴。

恒一の「逃げではない逃避」を、やさしくも鋭く見抜く。


言葉は少ないが、

真実だけをまっすぐに吠える。


ユキ


猫の精霊/夜の気配


月明かりのように静かな存在。

内側へ潜る力、沈黙の中で自分を守る知恵の象徴。

美咲の「黙ることで壊れないふり」を、そっと撫でるように指摘する。


厳しいことも言うが、

それはいつも、寄り添う距離で。


恒一の犬


大型犬/現実の存在


無条件の信頼を全身で表す。

恒一の弱さも疲れも、すべて肯定する存在。

吠えるのは、危険よりも「変化の前触れ」。


美咲の猫


成猫/現実の存在


気まぐれで、しかし忠実。

美咲の孤独に一番近い場所で眠る。

人と人の距離が縮まると、そっと居場所を譲る。


この物語の登場人物たちについて


この物語には、

「悪役」も「敵」もいない。


いるのはただ、

疲れた二人と、言葉にならなかった想いだけ。


奇跡は外からやってこない。

彼らの中に、最初からあった。


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