とても繊細で読み手を引き込む文章力は、読むというよりも見るに近いかもしれません。背筋がぞっとするホラーな話ではありますが、それ以外にも恋愛の難しさを表現した作品でもあると思います。
魅力的な彼氏は、家の近くにある竹藪を嫌っていた。 昼間でも仄暗い、闇を纏った竹藪は、何かを秘匿しているかのようだった。 交際は順調に進んでいくが、徐々に彼氏は怯え始める。 不安を宥めるために近づくほど、より恐怖する始末。 真相は藪の中、事態は想像もしない方向に……・ ホラードラマと怪談が混じったような一作。 光景が想像しやすく、始めから漂う不穏な空気が如何にも妖しい。 竹藪という題材もこの雰囲気を引き立てている。 異変の出し方も自然ながら恐ろしく、ぞわりとするものがあった。
竹藪という決して消えない闇に呑み込まれる様を、読者は息を詰めて見守ることになる。