理由2.日本語文化圏は流れ星の時期

これだけ単一の言語に依存している国が他にあるでしょうか?


明治維新の後、閉ざされた日本語文化は世界に触れたことで2人のノーベル文学賞作家が生れました。川端康成と大江健三郎です。


まず彼らは作家としての能力はぶち抜いてますね。そこは当然そうなのですが、それだけでとれないのがノーベル文学賞です。


そもそも学問は新発見です。日本語文学は西洋においてそりゃもう新発見でした。


まず主語なくていいんですよ?

アイアム、ディスイズ。イラナイヨ。


まずはじめに対象を指定する。出発点が決まっているからこそ、ここからはじめないといけないからこそ、いかなるルートをとるか?対象を何にするか?が他言語では文学として重要な判断要素となります。


日本語はそもそも主語なくていいんです。行間が普通です。みんなが日常的に行間をしゃべってるわけです。老若男女がどこでもいつでも行間行間してます。


適当言っているわけではなくて、それでも伝わるように伝達の見えない輪郭を皆が共有しています。それって外から見たらすごいことなんですよね。


加えて恥とか誉みたいな、行間の超絶進化系もあります。法律や憲章で明文化されていない、各々の中から湧く文化が強烈です。


そんなん突然、世界に現れたら、びっくりです。

書いてもない、語ってもない。でも事実共有されている。


世界をぶち抜くに決まってるでしょう。なので単に能力だけでなく、生まれた時代、文化比較的な優位、そんなインパクトも受賞には必要なのだと私は考えています。


村上春樹さんがとらなくて私はホッとしています。とってもおかしくなかったから。もしあの一番囁かれていた時期に村上春樹さんがとってたらもうノーチャンだったかもと思います。でもなぜ届かなかったのか?私見ですが推測するに「英文からの再翻訳的スタイル」が結果として日本語外の文化圏においては若干弱くなってしまった格好だと感じています。


つまり村上春樹作品は私達のための物語なんですよ。

だってよく言われる日本語を英語にしてからもう一度日本語にした文体ってもっとも楽しめるのは私達日本人ですから。英語に再翻訳したらただの整った英語です。だから英語圏の人にとってはそれほどのぶっ刺さる発明ではなかったのかな?と感じています。私英語圏の人でないので正確にはわからないですが。


で!そのためにチャンス到来です。


私達は今すごい時代を生きています。


日本は圧倒的な栄光を駆けあがりました。そして順調に衰退しています。私が子供のころは人口は1億2000万人くらい。もう1億人切りそうですね。私が生きてる間に半減する可能性もあるそうです。震えますよね。


日本が唯一の日本語文化圏です。アメリカが衰退してもヨーロッパが衰退しても英語文化圏って弱まりはしても滅びません。でも日本語は日本が衰退したら滅ぶ可能性が高いです。


沢山の国で話されている言語で文学すれば、その時々の豊かな地域で読まれるために自国が衰退していても文学しやすいです。でも日本語圏はこの国だけなので人口の縮小は致命的です。


そもそも日本語で本を出すことを考えても1億人がお客さんなのと、5000万人がお客さんなのとでは、半分ですよ?給料半分になったら暮らしていけないでしょう?だから日本語の文学は衰退します。


でもこれはチャンスです。


圧倒的に繁栄した言語圏の衰退は人類がグローバルに文化や言語の研究を開始してから初めてのイベントです。私達は人類史に残すべき衰退イベントを当事者として書けるんです。


これは明治以後、日本語文学世界に登場を上回る大チャンスです。


さらに、お手本を村上春樹さんが残してくれてます。どう英語文化圏に伝わり易くするのか?またはどこを譲ってはいけないのか?あれだけの作家が直近で先をいってくれたんですよ。


私達がとらなければ誰がとるんでしょうか?


向こう50年の間に1人か2人、日本人の中からノーベル文学賞を受賞する作家が生れます。1人は村上春樹さんの可能性があります。もう1人は私達の誰かです。


私は適当言ってるんじゃないんです。確実に見えているその席に座りたいんです。

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