無??書館

ゆっきぃだよ

無??書館

いつになったら出られるんだろう。

ゆっくりと天を仰いだ。遥か高くそびえ立つ本棚にぎっしりと書物が詰まっている。どこまで続いているのか。

見渡す限り、そんな感じの本棚がずうっと続いている。

「帰りたいな………」

そう憂鬱に呟き、足を踏み出す。木製の床をコツコツと鳴らしていく。

この空間に来てから結構な時間が経つ。なぜここにいるか、どうやってここに来たのかは分からないが、気づいたときには、周りはこんな感じだった。

ある時は、本棚の横のハシゴを登ってみたりもした。だがいくら登っても上にたどり着くことは無かった。あるのは、相変わらず天まで伸びてるんじゃないかと思わせるほど続く本棚だけだった。

もちろん、横方向にも歩いてみたりした。たまに腰を降ろせるベンチや椅子とテーブルのセットなどが置いてあったが、結局、あるのはどこまでも続く本棚。景色が変わったりすることは無かった。

さしずめ、無限図書館って言ったところだ。

不思議と今まで空腹や喉の渇きは感じたことはない。眠気も起こらない。

暇だったので、棚に詰まっている本を抜き出して読んでみたりもした。ほとんどの本は表紙が傷んだり、紙が黄ばんだりしていたが、面白そうな冒険物語、本当に怖い怪談話、笑えるジョーク本など、様々な書物が置いてあって、退屈はしなかった。どれも最高な本だった。

そうやってしばらくはそれらを読んだりしていた。

最初はそれで良かった。

「あれ………なんだこの文字………」

ある時、読んでいる書物に違和感を感じた。書き出しがこんな感じだった。


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「読めない………」 

唖然として次のページをめくる。


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「なんで………」

最後までページをめくるが、どのページも未知の文字でびっしりだった。不気味な雰囲気に思わず腕に鳥肌が立つ。

すぐにその本を棚に戻し、別の本を取り出す。


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「気持ち悪………」

再び本を戻し、さらに別のを取る。


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「…………」

結果は同じだった。

それからはどの本を手に取っても文字が読めなくなっていた。表紙も、今では読めない。

もう暇を潰すことはできない。

藁をもすがる思いで、なんとか読めそうな本を探して彷徨った。そんな本は見つからずにすぐ諦めたが。

「帰りたいな………」

思わずそう漏らす。

宛もなく彷徨うしかないのだろうか。

このまま死ぬこともできず――永遠にこのままなのだろうか?

そんな恐ろしい考えが頭をよぎったが、すぐにブンブンと頭を振り払った。

気を紛らわせるためにとりあえず歩く。いくら歩いたところで出口にはたどり着けないのだが。

歩いているうちにふと、棚にある一冊に目が止まった。思わず足を止め、息を呑む。


本を再び読みたいあなたへ


そうはっきりと書いてある。迷わずそれを本棚から引き抜いた。すぐに開く。


本を読めるようになりたいですか?


「読める………」

久しぶりに読める本に出会い、胸が高鳴る。

 

この図書館の本を読めるようになりたければ、次のページへとお進みください。


※注意 後戻りはできません。


「後戻りはできません……?」

どういう意味だろうか。分からない。

分かるのは、このページをめくれば、また前のように本が読めるだろうということだった。なぜかそんな気がする。根拠はない。

思わず唾を飲み込む。

めくるか――それとも………

文をなぞる指が震え出す。

「…………」

ゆっくりと、ページの端を折る。

やっぱり、読みたい。

そのままページをゆっくりとめくった。

ふわ、と体が軽くなるような感覚とともに、周りの本棚が一瞬だけ白く光った――ような気がした。

すぐに本棚に視線を移す。

今まで読めなかった表紙の文字が、今や意味のある言葉へと変わっていた。

すべてを理解した気がした。

すべて――縺吶∋縺ヲ

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