センチネル/rebellion
織田幽谷
第1話
あの戦争から6年........
戦勝国、ヴェルトの内政は決して万全とは言えなかった
政府が予算を得るために行った、現首相の火星政策は一部の将校から反発を招いたのだ
火星の公共事業の削減、住民税の値上げ、再開発の中止........
老朽化した設備で暮らす火星の住民の不安、不満
地球を離れ、厳しい環境を生きる彼らにこの仕打ちかと、彼は憤った
ヴェルト軍火星方面軍中佐、グリム・アルバート。
彼は火星の住民のため、決意したのだ
ヴェルトの人口の1割程度しか生活していない火星に、世論はそっぽを向いた
いや、関心などなかった
絶対的多数決の政治を覆すため、グリム中佐は蜂起への準備を、密かに始めていた.......
食堂で夕食を終え、自室のベッドで寝そべっていると、机の上、携帯電話の着信音が鳴る
「はい、コリィ・イーストマン大尉です」
電話を手に取り、イシス基地司令、グリム中佐にそう告げた
「話したいことがある。司令室まで来てくれるか。」
「はっ、今すぐに」
すると彼は電話を切り、軍服のジャケットを身につけ司令室へ向かう
「失礼します」
司令室のドアの前に立ち、ノックをする
「入りたまえ」
司令の声を聞き、コリィ大尉はドアを開け部屋に入る
「座ってくれ」
グリム中佐が席につくように促し、艶のある革製のソファに座る
「早速なんだが、政府の火星政策の転換は、もちろん君のことだ、耳に入っているだろう。」
中佐の言葉に
「はっ、もちろんです。」
と返答する
少しの間、沈黙が両者の間を支配する
絶妙な緊張感が流れる中、少佐が口を開く
「.......そこでだ。」
コリィ大尉は無言で頷いた
「私は、火星市民の要求を政府に飲ませるため、武装蜂起の計画を立てている」
その少佐の声に、彼はただ、そういうだろうと察していたように、無言で続けるのを待った
「部隊内でも、政府の方針には不満が蔓延している。乗ってくれとは言わん。ただ、」
間髪入れず、
「乗りますよ。あなたと私、何年の仲だと思ってるんですか。」
と呆れたように言った
「言われてみればそうだな」
少佐は笑いながら、緊張を紛らわすように、ただ自らの拳を握った
コリィが火星駐留軍に配属されて9年、いや、それ以前からの知り合いでもあった二人は、多く語らずとも分かっていた
「君がいてくれるなら頼もしいよ。部下達も君のことだ、ついてきてくれるだろう。」
どこか憂いを帯びたように少佐は話した
「無理強いはできませんけどね」
コリィ大尉が返す
まるでこの計画の結末を、二人ともどこか分かっているかのような、そんな空気感と、少しのノスタルジーが、軍の司令室という場で漂っていた
「君には、これを受け取りに月まで行ってほしい」
少佐が資料を差し出す
FSR-31G3センチネル3型
通称センチネルG3
北大西洋連合系の企業、ExA社が開発した機体
連合軍のFSR-31センチネルは、コスモ戦争にて我が方に多大な損害を与えた、彼らのエース機体
その機体がなぜ敵国であるヴェルトに?
コリィはそんな疑問以前に、スペックデータに釘付けだった
全長20.6m
重量52.8t
出力4620kw
武装
4連装ミサイルラック×4
Mk21A重粒子ライフル
重粒子キャノン砲2門
大型ビーム・セイバー......
従来の機体とは全く異なる、モンスターマシン
出力からして我が軍の量産機、エデルⅡとは2倍以上も違う.....
彼はそのモンスターマシンを目に、子供の頃のような感情の昂りを感じていた
「もちろん決起に用いる機体はそれだけではない。機体性能でぐらい優勢に立てるようにしてあるさ。」
司令はそう言うと、また新しく資料を差し出した
ページを広げると、
MZ-12ゼクト
全長19.8m
重量56.3t
出力2100kw
武装
Gew91重粒子ライフル
203mmATW
ビーム・セイバー......
「これをこの基地の工廠で生産し、すでに稼働可能状態だ。操縦系はエデルと全く同じ。転換訓練にも時間はかからんだろう。」
その少佐の言葉に、昂りを隠せない声で
「なるほど.....これなら、多少は張り合えそうだ。」
とコリィ大尉は言った
冷たい火星の夜、妙に熱っぽい感覚と、興奮が、大尉の中に宿っていた
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