天上の大海原
CだCへー
序章
昔々、この世の人々は、飢えておりました。
狩る動物もなく、作物は実らず、あめも降らず、途方に暮れていました。
人々は、天の神様に祈りを捧げました。
祈りは届き、動物が顔を出し、作物は畑に溢れ、あめは大地を喜ばせました。
人々は神様の善意に感謝しました。
しかし、人は哀れにも傲慢でした。
善意に依存した人は感謝を忘れました。
感謝は恫喝へと変わりました。
人に呆れた神は地上から全てを取り上げ天の彼方へと消えていきました。
今はあの赤い太陽から、人が感謝を取り戻す日を待っているそうです……
よく祖母が、話してくれた寝物語だ。
昔は『あめ』が理解できず、何度も聞いたものだ。
あの赤い空から水が降る? 凄い便利な世界だったんだな。
まったく、俺は、その水のせいで――――――
「おらあああ!
後ろから、強烈な日差しに混ざり、聞き慣れた地上人の怒声が飛ばされる。
両腕をガムシャラに降り、駆けだした。
両手の五本のかぎ爪が太陽の光を反射し、砂と汗で汚れた遮光ゴーグルに鈍い光を見せつける。
息を吐き出すたびに、尖り鼻に沿ったフェイスベ―ルに、唾と砂で茶色染みを広げていく。
六本足の爪と、足の裏で、大地の熱砂を何度も踏みしめて、蹴り上げる。
足の裏から伝わる微振動が、その走る運動を止めるのを許さなかった。
「いたぞお! コブワ―ムだ! アンカ―セット! 急げ!」
今アンカーをセットだって! すぐ、後ろにいるんだぞ! 間に合わねぇよ!
足の裏から、地中のコブワ―ムの動きが伝わってくる。
どうせ、食われるなら一か八かだ! 右に飛び跳ねる。
よし! 予想的中だ! コブワ―ムの巨体が、飛び跳ねた足の裏をかする。
しまった! 予想外だ! 別のコブワ―ムが俺の探知外の地中深くから、突如現れ、俺の着地点で粘液まみれの口で歓迎してくれた。
腐臭と、全身に強力な圧迫感が襲う!
俺は食われてしまったようだ。
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